その咳、その鼻水、本当にただの風邪?病院に行くべきか迷う親たちへ
子どもの急な発熱、止まらない咳、ぐったりした様子…。
「ただの風邪だろう」と思いつつも、「もしかして、もっと重い病気だったら…」と、不安な夜を過ごした経験は、多くのお父さんお母さんにあるのではないでしょうか。
特に、共働きで仕事を休みにくい状況だと、「このくらいで病院に連れて行くのは、大げさだろうか?」と、受診をためらってしまうこともあるかもしれません。
しかし、子どもの風邪は、時に肺炎や中耳炎、気管支炎など、重い合併症を引き起こすことがあります。自己判断は禁物です。
この記事では、小児科医の視点から、**子どもの風邪で「病院に行くべきタイミング」と、お家でできる「症状を和らげるための正しいホームケア」**について、詳しく解説します。
「ただの風邪」と侮らないで!受診を急ぐべき危険なサイン
以下の症状が見られる場合は、夜間や休日であっても、救急外来の受診を検討してください。
- 呼吸の異常:
- 肩で息をしている、呼吸のたびに鎖骨の上がへこむ(陥没呼吸)
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする
- 顔色や唇の色が悪い(青白い、紫色)
- 意識・様子の異常:
- ぐったりしていて、呼びかけへの反応が鈍い
- 水分を全く受け付けず、半日以上おしっこが出ていない
- 生後3ヶ月未満の赤ちゃんで、38度以上の熱がある
- その他の重い症状:
- けいれんを起こした
- 嘔吐を繰り返し、水分補給ができない
- 耳をしきりに痛がる
慌てなくて大丈夫。でも、診療時間内に受診したい症状
- 熱が3日以上続く: 高い熱が続く場合は、他の感染症の可能性も考えられます。
- 咳がひどくて眠れない、咳き込んで吐いてしまう: 咳止めの薬などが必要な場合があります。
- 鼻水が黄色や緑色で、ドロドロしている: 副鼻腔炎などを起こしている可能性があります。
- 中耳炎を繰り返している: 早めの治療が大切です。
お家でできる!症状を和らげる4つのホームケア
病院に行くほどではないけれど、つらそうな我が子を少しでも楽にしてあげたい。そんな時に有効なホームケアをご紹介します。
1. 水分補給
発熱や呼吸で、体内の水分はどんどん失われます。湯冷ましや麦茶、幼児用のイオン飲料などを、少量ずつ、こまめに与えましょう。母乳やミルクも立派な水分補給です。
2. 部屋の加湿
空気が乾燥していると、喉や鼻の粘膜が傷つき、咳や鼻づまりが悪化します。加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に干したりして、湿度を50〜60%に保ちましょう。
3. 鼻水の吸引
特に、自分で鼻をかめない小さな子どもにとって、鼻づまりは非常に不快です。市販の鼻吸い器を使って、こまめに鼻水を取ってあげると、呼吸が楽になり、中耳炎の予防にも繋がります。
4. 楽な姿勢での休息
咳がひどい時は、上半身を少し高くして寝かせると、呼吸が楽になります。背中にクッションやタオルを挟んで、角度を調整してあげましょう。
まとめ:親の「観察力」と「判断力」が、子どもを守る
子どもの風邪で最も大切なのは、親が**「いつもと違う」**というサインを見逃さないことです。
「何となく元気がない」「機嫌が悪い」
そんな、親だからこそ気づける些細な変化が、病気の早期発見に繋がります。
この記事を参考に、冷静に子どもの状態を観察し、適切なタイミングで医療機関を受診してください。そして、お家では温かいケアで、子どもの回復をサポートしてあげましょう。