「イヤ!」の嵐に、心が折れそうなあなたへ
「ごはん、イヤ!」
「お着替え、イヤ!」
「お風呂、イヤ!」
「イヤなのも、イヤーーーッ!!」
何を言っても「イヤ!」の大合唱。道端でひっくり返って大泣きする我が子を前に、途方に暮れ、周りの視線が突き刺さる…。
「魔の2歳児」とも呼ばれる、恐怖のイヤイヤ期。可愛い我が子のはずなのに、まるで小さな怪獣のようで、こちらの身が持ちませんよね。
「私の育て方が悪いのかな…」
「いつまで続くの…?」
そんな風に、一人で涙ぐんでいませんか?
こんにちは!3人の娘たち全員の、それはそれは壮絶なイヤイヤ期を乗り越えてきた、現役ママナースの皐月です。
断言します。イヤイヤ期は、あなたの育て方のせいでは決してありません。それは、子どもが「自分」という存在に目覚め、自立へと向かう、成長の証なのです。
そうは言っても、綺麗事だけでは乗り切れないのが現実。そこでこの記事では、親のイライラをスーッと軽くする考え方のコツと、**具体的なシーン別の「魔法の言葉かけ」**を、私の実体験と専門知識を交えてご紹介します。
この記事を読み終える頃には、きっと「イヤ!」の嵐を乗りこなすヒントが見つかるはずです。
なぜ?どうして?イヤイヤ期の正体を知れば、少し楽になる
まず、敵の正体を知ることから始めましょう。なぜ子どもは「イヤ!」を連発するのでしょうか?
- 理由1:「自分」の芽生え
- 「これは自分がやりたい!」「ママの言う通りじゃない!」という、自我が芽生え始めた証拠。親の指示を拒否することで、「自分」を確立しようとしています。
- 理由2:やりたい気持ち vs できない能力のギャップ
- 「自分で靴を履きたい!」でも、まだ手先がうまく使えない。そのもどかしさや悔しさが「イヤ!」という癇癪になって爆発します。
- 理由3:気持ちを言葉にできない
- 「眠い」「お腹がすいた」「もっと遊びたい」。そんな自分の気持ちを、まだうまく言葉で表現できません。そのあらゆる不快感が、便利な「イヤ!」という一言に集約されてしまうのです。
つまり、「イヤ!」は、あなたを困らせるための言葉ではなく、「僕はここにいるよ!僕の気持ちを分かって!」という、心の叫びなのです。
親のイライラが半減する!3つの考え方のコツ
子どもの気持ちは分かっても、こちらのイライラは収まらない!…当然です。そこで、親の心を軽くするための考え方のコツを3つご紹介します。
コツ1:子どもの「イヤ!」を翻訳してみる
子どもが「イヤ!」と言った時、その言葉をそのまま受け取るのではなく、「本当は何て言いたいのかな?」と、心の中で翻訳してみましょう。
- 「ごはん、イヤ!」 → (翻訳)「今は遊びたい気分なの!」
- 「お風呂、イヤ!」 → (翻訳)「眠くて、もうヘトヘトだよ…」
こう考えるだけで、「またワガママ言って!」という怒りが、「そっか、眠かったんだね」という共感に変わりやすくなります。
コツ2:選択肢を用意して、本人に選ばせる
イヤイヤ期の子どもは、「自分で決めたい」欲求の塊です。「〇〇しなさい!」という命令は、反発を招くだけ。
-
(✕)「青い服を着なさい!」
-
(〇)「青い服と赤い服、どっちがいい?」
-
(✕)「早くお片付けして!」
-
(〇)「アンパンマンとバイキンマン、どっちからお家に帰す?」
自分で選べたという「自己決定感」が、子どもの満足感に繋がります。
コツ3:時には、真正面から向き合わない
すべてに丁寧に対応しようとすると、心が持ちません。時にはユーモアで返したり、全く違う話題で気をそらしたりするのも、立派なスキルです。
- 子:「イヤ!」
- 親:「えー、イヤイヤ星人が出たー!ママ、食べられちゃうー!」
- 親:「あ、見て!飛行機雲!」
危険がない限り、「今はそういう時期」と割り切って、受け流す力も大切です。
【シーン別】困った「イヤ!」が「うん!」に変わる言葉かけ辞典
ここでは、具体的なシーンで使える言葉かけの例をご紹介します。
SCENE 1:ごはん・食事
- イヤ!:「ごはん、いらない!」
- OK!:「そっか、今は気分じゃないんだね。じゃあ、このお野菜さんだけ、ウサギさんみたいにもぐもぐできるかな?」(食べるハードルを下げる)
SCENE 2:着替え
- イヤ!:「この服、着ない!」
- OK!:「分かった!じゃあ、ママとどっちが早くお着替えできるか競争だ!」(ゲーム感覚に持ち込む)
SCENE 3:歯磨き
- イヤ!:「歯磨き、しない!」
- OK!:「歯のバイキンマン、ママがやっつけるから応援してて!シュシュシュ!」(ヒーローごっこで楽しませる)
SCENE 4:お風呂
- イヤ!:「お風呂、入らない!」
- OK!:「お風呂にアヒルさん浮かべて競争させようよ!どっちが勝つかな?」(楽しいことで気を引く)
SCENE 5:お片付け
- イヤ!:「お片付け、できない!」
- OK!:「じゃあ、ママが赤いブロックを集めるから、〇〇ちゃんは青いのをお願いできる?」(役割分担で参加しやすくする)
SCENE 6:お出かけ・帰宅
- イヤ!:「公園から帰りたくない!」
- OK!:「そうだよね、もっと遊びたいよね。じゃあ、あの滑り台をあと3回やったら、お家に帰ろうか」(見通しを立てて、納得しやすくする)
まとめ:嵐が過ぎ去った後には、必ず成長が待っている
イヤイヤ期の対応に、たった一つの正解はありません。今日うまくいった方法が、明日には通用しないことの連続です。
でも、どうか自分を責めないでください。
あなたが子どもの「イヤ!」と真剣に向き合い、悩み、試行錯誤していること自体が、何より素晴らしい愛情の証です。
「イヤ!」は、子どもがあなたに寄せる「絶対的な信頼」の裏返しでもあります。「このママなら、僕の気持ちを受け止めてくれるはずだ」と信じているからこそ、安心して感情を爆発させられるのです。
嵐のような毎日ですが、この時期は必ず終わりが来ます。そして、その先には、言葉で自分の気持ちを伝えられるようになった、一回りも二回りも大きく成長した我が子の姿が待っていますよ。