その小さな体が熱い…夜中の発熱に、あなたは冷静でいられますか?
プルルル…夜間、スマホに表示された病院の番号。
ぐったりと熱い我が子を前に、心臓が跳ね上がる。
「もしものこと」を考えてしまう親心。
夜間や休日で医療機関が限られることへの不安。
子どもの急な発熱は、親にとって計り知れないほどの不安を伴いますよね。
こんにちは!3人の娘たちの子育ての中で、何度もこの不安と向き合ってきた、現役ママナースの皐月です。
医療現場で多くの患者さんとご家族の不安に寄り添ってきた経験から、親御さんの不安は当然の感情だと理解しています。
この記事では、そんなあなたの不安に寄り添い、子どもの発熱時に家庭でできる適切な対処法から、すぐに受診すべき危険なサイン、そして解熱剤の正しい使い方まで、専門家の視点から分かりやすくお伝えします。
正しい知識と準備があれば、きっとあなたは、お子さんの「最初の看護師」として、冷静に対応できるはずです。
なぜ?どうして?子どもの発熱のメカニズム
発熱は、体がウイルスや細菌と戦っている証拠であり、免疫機能が正常に働いている証でもあります。熱が高いほど重症というわけではありません。大切なのは、熱の高さよりも、お子さんの全身状態です。
発熱時の体の変化
- 熱が上がり始め(悪寒戦慄期):
- 体温を上げようと体が震え、手足が冷たくなります。この時期は、温めてあげましょう。
- 熱が上がりきった状態(熱性期):
- 手足が温かくなり、顔が赤くなります。この時期は、熱がこもらないように薄着にし、体を冷やしてあげましょう。
- 熱が下がり始め(解熱期):
- 汗をかき始めます。汗をかいたら、すぐに着替えさせ、体を冷やしすぎないように注意しましょう。
【家庭でできる対処法】慌てずに!発熱時の基本ケアと注意点
子どもの発熱時、まずは慌てずに以下の基本ケアを実践しましょう。
1.熱の測り方
- 正しい体温計の使い方: 脇の下でしっかり挟む、耳式体温計は耳の穴にまっすぐ入れるなど、体温計の取扱説明書に従いましょう。
- 測る場所: 脇の下が一般的ですが、乳幼児は耳式や額式も便利です。
- 注意点: 食後や運動後、入浴後は体温が高めに出ることがあるので、少し時間を置いてから測りましょう。
2.水分補給の重要性
発熱時は脱水になりやすいので、こまめな水分補給が最も重要です。
- 与えるもの: 経口補水液、麦茶、薄めたイオン飲料、リンゴジュース(薄める)、野菜スープなどがおすすめです。
- 与え方: 一度にたくさん飲ませるのではなく、スプーンやストローで少量ずつ、頻回に与えましょう。
- 脱水症状のサイン: 唇や口の中が乾いている、おしっこの量が少ない、元気がない、泣いても涙が出ない、皮膚の弾力がない(つまんで離すと戻りが遅い)などのサインに注意しましょう。
3.食事
無理に食べさせる必要はありません。水分補給を優先しましょう。
- 消化の良いもの: おかゆ、うどん、ゼリー、プリン、スープなどがおすすめです。
- 食べやすいもの: 子どもが食べたいものを少量ずつ与えましょう。
4.衣類・寝具
- 体温調節: 汗をかいたらすぐに着替えさせ、薄着にしましょう。熱が上がりきって手足が温かくなってきたら、布団をかけすぎないように調整します。
- 素材: 吸湿性・通気性の良い綿素材などがおすすめです。
5.部屋の環境
- 室温: 20〜25℃を目安に、子どもが快適に過ごせる温度に保ちましょう。
- 湿度: 50〜60%を目安に加湿器などで調整し、乾燥を防ぎましょう。
- 換気: 定期的に窓を開けて換気し、空気を入れ替えましょう。
6.体を冷やす場所
- 効果的な場所: 脇の下、首の付け根、足の付け根など、太い血管が通っている場所を冷やすと効果的です。
- 方法: 濡らしたタオルや冷却シート(冷えピタなど)を使いましょう。冷えピタは、熱を下げる効果は限定的ですが、気持ちよさで不快感を和らげます。ただし、乳幼児の顔に貼る際は、窒息のリスクに注意が必要です。
- 注意点: 嫌がる場合は無理に冷やさないでください。
7.入浴
- 熱がある時の入浴: 熱が38.5℃以上でぐったりしている場合は避けましょう。熱が38℃台でも、比較的元気で汗をかいている場合は、シャワーでさっと汗を流す程度なら問題ありません。湯冷めに注意し、入浴後はすぐに体を拭いて温かくしましょう。
【解熱剤の正しい使い方】種類・量・タイミングをママナースが解説
解熱剤は、熱を下げること自体が目的ではなく、発熱によるつらさ(頭痛、関節痛、だるさなど)を和らげ、一時的に楽にしてあげるためのものです。熱が高いからといって、すぐに使う必要はありません。
解熱剤の種類
- アセトアミノフェン系:
- 特徴: 比較的安全性が高く、乳幼児から使用できます。インフルエンザや水ぼうそうの時にも使用可能です。
- 製品例: カロナール、アンヒバ、アルピニーなど。
- イブプロフェン系:
- 特徴: アセトアミノフェン系よりも解熱作用が強い場合がありますが、副作用のリスクも高まります。インフルエンザや水ぼうそうの時には使用できません。
- 製品例: ブルフェンなど。
正しい量とタイミング
- 体重に応じた用量: 必ず医師の指示や薬剤師の説明、添付文書の記載に従い、子どもの体重に合った量を守りましょう。
- 使用間隔の厳守: 次の使用までには、必ず6時間以上(製品によっては4時間以上)の間隔を空けましょう。熱が再び上がっても、間隔を空けずに使用するのは危険です。
- 使用のタイミング: 熱が高くても、子どもが比較的元気で水分も摂れている場合は、無理に使う必要はありません。ぐったりしている、つらそうにしている、眠れない、水分が摂れないなどの場合に使いましょう。
座薬と飲み薬
- 座薬: 早く効き、吐き気がある場合でも使用できます。
- 飲み薬: 味や匂いを嫌がる場合がありますが、量を調整しやすいです。
注意点
- 併用禁忌: 他の薬との飲み合わせに注意が必要です。必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
- 副作用: 発疹、吐き気、下痢などの副作用が出ることがあります。
- 使用を控えるべきケース: 意識障害がある場合、呼吸が苦しそうな場合、脱水症状が強い場合などは、解熱剤の使用を控え、すぐに医療機関を受診しましょう。
【ママナースの視点】すぐに病院へ!危険なサインと受診の目安
子どもの発熱時、最も親が知りたいのは「病院に行くべきか、様子を見て良いか」の判断基準だと思います。以下のサインを参考に、冷静に判断しましょう。
すぐに救急車を呼ぶべき危険なサイン
- 意識障害: 呼びかけに反応しない、ぐったりしている、視線が合わない。
- けいれん: けいれんが5分以上続く、けいれんを繰り返す、初めてのけいれん。
- 呼吸が苦しそう: 肩で息をしている、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする、呼吸が速い、陥没呼吸(肋骨の間がへこむ)。
- 顔色・唇の色: 顔色が真っ青、唇が紫色になっている。
- 激しい頭痛や嘔吐: 嘔吐を繰り返す、頭を強く痛がる。
- 首が硬い: 首を動かすと痛がる、うなだれる(髄膜炎の可能性)。
- 生後3ヶ月未満の発熱: 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の熱を出した場合は、すぐに受診が必要です。
- 水分が全く摂れない、おしっこが出ない: 脱水症状が進行している可能性があります。
夜間・休日でも受診を検討すべきサイン
- 熱が下がってもぐったりしている、元気がない。
- 機嫌が悪い、あやしても笑わない、泣き止まない。
- 発疹を伴う発熱。
- 特定の部位の痛みが強い(耳を痛がる、お腹を痛がるなど)。
- 持病がある場合の発熱(喘息、心臓病など)。
- 水分は摂れるが、食欲が全くない。
<ママナースの重要メモ>
熱の高さよりも**子どもの全身状態(元気があるか、水分が摂れているか、呼吸はどうかなど)**を重視します。親御さんの「いつもと違う」「何かおかしい」という直感は、非常に重要です。迷ったら、地域の小児救急電話相談(#8000)や、かかりつけ医に相談しましょう。
まとめ:備えあれば憂いなし!親の笑顔が、子どもの一番の薬
子どもの発熱は、親にとって大きな不安を伴うものです。しかし、正しい知識と適切な準備があれば、慌てずに冷静に対応することができます。
この記事でご紹介した家庭での対処法、解熱剤の正しい使い方、そして危険なサインを参考に、いざという時に慌てず対応できるよう準備しましょう。
何よりも大切なのは、お子さんの小さな変化に気づき、不安な時は一人で抱え込まず、専門家や周囲の人を頼ることです。
あなたの不安が少しでも和らぎ、お子さんが元気に回復することを心から願っています。