はじめに:そのイライラが、トイトレ最大の敵です
前回の「準備編」では、トイトレを始めるタイミングと、最初に揃えるべきグッズについてお話しました。
▼前回の記事はこちら
【準備編】いつから始める?おむつ外しのサインを見極める方法と、最初に揃えるべきグッズ
おまるや補助便座を買い、トレーニングパンツも準備万端!「さあ、今日から始めるぞ!」と意気込んでみたものの…。
「トイレに行こう」と誘っても、「イヤ!」の一点張り。
床に、ジャーっとお漏らしされて、思わず「あーあ、また!」と、ため息をついてしまう。
そんな理想と現実のギャップに、早くも心が折れそうになっていませんか?
こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。
断言します。トイレトレーニングで、親が最もやってはいけないこと。それは、「焦ること」と「怒ること」です。 親のイライラやプレッシャーは、敏感な子どもにすぐに伝わり、「トイレ=怒られる嫌な場所」というネガティブなイメージを植え付けてしまいます。そうなると、トイトレは、ますます長期戦になってしまうのです。
この記事では、「実践編」として、トイトレを「親子で楽しむイベント」に変えるための、具体的な進め方と、子どものやる気を引き出す声かけ・褒め方のコツについて、詳しくお伝えしていきます。
トイトレ成功への3ステップ:焦らず、ゆっくりと
トイトレは、以下の3つのステップで、ゆっくり進めていくのが基本です。次のステップに進むのを、焦らないでくださいね。
ステップ1:まずは「トイレに慣れる」ことから
いきなり「トイレでおしっこをする」ことを目指す必要はありません。最初の目標は、**「トイレは、怖くない、楽しい場所だ」**と、子どもに思ってもらうことです。
- 好きなキャラクターのポスターを貼る: トイレの壁を、子どもの好きなキャラクターで飾って、楽しい空間を演出しましょう。
- トイレの絵本を、トイレで読む: トイレに座りながら、トイレの絵本を読んであげるのも効果的です。「ワンワンも、上手にちっちしてるね〜」と、イメージを膨らませます。
- おまるや補助便座に、座る練習だけする: この段階では、服を着たまま、おむつをしたままでOKです。「椅子みたいだね!」「ここに座ると、王様みたいだね!」と、座れたこと自体を、たくさん褒めてあげましょう。
ステップ2:「座れたらラッキー」くらいの気持ちで誘ってみる
トイレに慣れてきたら、いよいよ、おしっこが出そうなタイミングで、トイレに誘ってみましょう。
- 誘うタイミング:
- 朝、起きた時
- 食事の前後
- お昼寝から起きた時
- お風呂に入る前
- お出かけの前
- 誘い方のコツ:
- NG: 「トイレに行くよ!」(命令形)
- OK: 「そろそろ、おしっこさん、出る頃かな?トイレに行ってみる?」
- OK: 「ママ、今からトイレに行くんだけど、一緒に行く?」
- 成功しなくても、落ち込まない: 便座に座れただけで、100点満点!「座れたね!すごい!」と褒めてあげましょう。たとえ、トイレから出た直後にお漏らししたとしても、「惜しかったね!次はおしっこさん、トイレでバイバイできるといいね」と、明るく声をかけるのがポイントです。
ステップ3:「できた!」を、親子で全力で喜ぶ
そして、ついにその瞬間が訪れたら…!
たまたまでも、ほんの少しでも、トイレでおしっこやうんちが出たら、親が、これでもかというくらい、大げさに褒めちぎってあげてください!
- 「うわー!出たね!すごい!天才!」
- 「やったー!おしっこさん、バイバイできたね!」
- 親子でハイタッチしたり、ハグしたり、一緒に踊ったり!
この**「成功体験」と「親の満面の笑顔」**が、子どもにとって、何よりのモチベーションになります。「トイレでやると、ママがこんなに喜んでくれるんだ!」「なんだか、すごく気持ちいい!」と感じることで、次の成功へと繋がっていきます。
もちろん、ごほうびシールも忘れずに!
お漏らしは「失敗」じゃない。「学び」のチャンス!
トレーニングパンツや布パンツに切り替えると、必ず、お漏らしはします。これは、絶対に避けられません。でも、それは「失敗」ではありません。
お漏らしは、子どもにとって、
- 「おしっこが出そう、という感覚」と、「実際に出る」という現象を結びつける、大切な学習の機会
- 「濡れると、気持ち悪い」ということを、身をもって知る、貴重な体験
なのです。
だから、お漏らしをした時に、絶対に怒ったり、がっかりした顔を見せたりしないでください。 親がやるべきことは、後片付けを、淡々と、そして、にこやかに行うことだけです。
「大丈夫、大丈夫。お着替えすれば、スッキリするよ」
「おしっこさん、びっくりして、慌てて出てきちゃったんだね」
そんな風に声をかけながら、後始末をしましょう。親が、お漏らしを「大したことじゃない」という態度でいることが、子どもの「失敗への恐怖心」を取り除き、再チャレンジへの意欲を育てます。
まとめ:親の笑顔が、最高の“ごほうび”
トイトレは、まさに、親の忍耐力と演技力が試される、一大プロジェクトです。
でも、一番大切なのは、高価なおまるでも、完璧なごほうびシステムでもありません。**「大丈夫だよ」「できなくても、あなたのことが大好きだよ」**という、親の揺るがない愛情と、笑顔です。
焦らず、怒らず、比べず。目の前のお子さんのペースを信じて、親子で一緒に、一歩一歩進んでいきましょう。
次回の最終回では、「おしっこはできても、うんちができない…」「夜のおむつは、いつ外れるの?」といった、トイトレで多くの親がぶつかる、具体的なお悩みについて、解決策をお答えしていきます。