はじめに:「いつかは取れる」その“いつか”は、いつ?
毎日、大量に消費していくおむつ。「このおむつ代が、いつかなくなる日が来るんだろうか…」
お子さんが2歳を過ぎたあたりから、多くの親御さんの頭をよぎり始めるのが、**「トイレトレーニング(トイトレ)」**という、次なる大きな壁ではないでしょうか。
「周りの子は、もうパンツになってるのに、うちはまだ…」
「夏に始めた方がいいって聞くけど、本当?」
「そもそも、何から手をつければいいのか、さっぱりわからない!」
焦る気持ちと、漠然とした不安。おむつが外れることは、子どもの成長の大きな一歩だとわかっているからこそ、失敗したくない、というプレッシャーを感じてしまいますよね。
こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。
『親子で楽しむ「トイトレ」』シリーズへようこそ!このシリーズでは、トイトレを「親子の戦い」ではなく、「親子で楽しむイベント」に変えるための、具体的なヒントをお伝えしていきます。
第1弾となる今回は、「準備編」。焦って始めて、親子で疲弊してしまわないために、**トイトレを始めるべき最適なタイミングを見極める“サイン”**と、スムーズなスタートを切るために、最初に揃えるべきグッズについて、詳しく解説します。
焦りは禁物!トイトレを始める前に知っておくべき大原則
まず、何よりも先にお伝えしたいこと。それは、**「トイトレの開始時期に、正解はない」**ということです。1歳半で始める子もいれば、3歳を過ぎてから始める子もいます。子どもの発達には、個人差があって当たり前。周りと比べて、焦る必要は全くありません。
トイトレがうまくいくかどうかは、**「子どもの心と体の準備が、整っているか」**にかかっています。親が「始めさせたい」タイミングではなく、子どもが「始められる」タイミングを見極めること。それが、成功への一番の近道です。
見逃さないで!おむつ外しの「GOサイン」5つ
では、その「始められる」タイミングは、どうやって見極めればいいのでしょうか。以下の5つのサインが、2つ以上見られるようになったら、そろそろトイトレ開始を検討しても良い時期かもしれません。
- おしっこの間隔が、2時間以上あくようになった
- これは、膀胱(ぼうこう)におしっこを溜めておける機能が、発達してきた証拠です。授乳後や起床後など、おむつが濡れていない時間が増えてきたら、チェックしてみましょう。
- 「ちっち」「うんち」など、排泄を言葉で伝えられる(または、ジェスチャーで示せる)
- おしっこやうんちが出た後に、「ちっち、出た」と事後報告ができるようになれば、OK。排泄という現象を、子ども自身が認識し始めたサインです。
- 簡単な言葉でのやりとりが、できるようになってきた
- 「トイレに行ってみようか?」という親の問いかけを、理解できる程度の言語能力は、スムーズなトイトレに不可欠です。「ワンワン、いたね」「ブーブー、どうぞ」のような、簡単な二語文が話せるのが一つの目安です。
- 一人で、しっかりと歩ける
- 自分でトイレまで歩いて行ける、という身体的な発達も、もちろん重要です。
- トイレや、おまるに興味を示し始めた
- 親がトイレに行くのについて来たがったり、絵本やテレビのトイレのシーンに興味を示したり。子どもの「知りたい!」という好奇心は、最大のモチベーションになります。
これさえあれば安心!最初に揃えるべき「三種の神器」
子どもの準備が整ったら、次は、環境の準備です。最初から、たくさんのグッズを買い揃える必要はありません。まずは、以下の「三種の神器」があれば、トイトレはスタートできます。
① おまる or 補助便座
これは、お子さんの性格や、ご家庭の状況に合わせて選びましょう。
- おまるのメリット・デメリット
- メリット: 足が床につき、子どもが自分で踏ん張りやすい。リビングなど、目の届く場所に置いておけるので、誘いやすい。
- デメリット: 使用後に、毎回親が片付け(洗浄)をする手間がかかる。
- 補助便座のメリット・デメリット
- メリット: 大人のトイレに設置するだけなので、衛生的で、後片付けが楽。
- デメリット: 子ども一人で座るのが難しく、足が宙に浮いてしまうため、踏ん張りにくい(→踏み台が必須)。
【ママナースの結論】
どちらが良い、ということはありません。キャラクター付きのものなど、お子さん自身が「これ、使ってみたい!」と思えるデザインのものを、一緒に選ぶのがおすすめです。
② トレーニングパンツ
いきなり普通の布パンツにするのは、ハードルが高いもの。まずは、**「少しのお漏らしなら、防げる」**トレーニングパンツから始めましょう。
- 選び方のポイント:
- 層の厚さ: 3層、4層、6層など、様々な厚さのものがあります。初めは、少し厚手の6層タイプから始めると、親も子も安心です。
- デザイン: これも、お子さんが好きなキャラクターや柄のものを選ぶと、「このパンツ、履きたい!」というモチベーションに繋がります。
- 枚数: 最低でも、5〜6枚はあると、洗濯が間に合わない!という事態を防げます。
③ ごほうびシール&シール台紙
「トイレでおしっこができたら、シールを1枚貼ろうね!」
この**「できた!」の可視化**は、子どものやる気を引き出す、絶大な効果を発揮します。100円ショップなどで手に入る、キラキラしたシールや、大好きなキャラクターのシールを用意してあげましょう。台紙は、ただの紙でも良いですし、市販のシールブックを活用するのも良いでしょう。
まとめ:焦らず、比べず、楽しむ準備を
トイトレは、子どもの成長の過程における、一つの通過点に過ぎません。いつか必ず、おむつは外れます。だから、周りの子と比べて、「うちの子は、まだ…」なんて、焦る必要は全くありません。
まずは、お子さんの心と体の準備が整うのを、どっしりと待ってあげること。そして、親子で「トイトレ、楽しそうだね!」と思えるような、環境を整えてあげること。
その“準備”こそが、これから始まる長い道のりを、笑顔で乗り切るための、一番大切なステップなのです。
次回の「実践編」では、いよいよ具体的なトレーニングの進め方について、「失敗しても怒らない!」「できた!」を増やす、声かけのコツなどを詳しくお伝えしていきます。