「もしも、私が入院したら…」その漠然とした不安、"見える化"すれば怖くない
元気なときには、あまり考えたくない「もしも」の話。でも、持病を抱えていると、ふとした瞬間に、まるで黒い影のように、その不安が心をよぎることがありませんか?
「もし、次の発作で入院になったら…」
「私が倒れたら、この子たちのことは誰が?」
「パパ(やおばあちゃん)に、いつものやり方を全部、正確に伝えられるだろうか…」
私自身、ぜんそく持ちなので、季節の変わり目や疲れが溜まった時には、常にこの不安と隣り合わせです。それは、自分の体の心配であると同時に、何よりも「子どもの日常が壊れてしまうこと」への恐怖でした。
残される家族の負担、子どもの心のケア、そして、ただでさえ大変な時に、細かい育児の引き継ぎで混乱させてしまうのではないか…。考えれば考えるほど、不安はどんどん大きく膨らんでいきます。
でも、ある時気づいたんです。この不安の正体は、「何が分からないか、分からないこと」そのものなのだと。
そこで私は、ママナースとしての知識を総動員し、もしもの時に必要な情報をすべて書き出した「お守りリスト」を作ることにしました。漠然とした不安を一つひとつ書き出して「見える化」することで、驚くほど心が軽くなり、「これさえあれば、大丈夫」という安心感が生まれたのです。
この記事では、持病の有無にかかわらず、すべての子育て中のママに作っておいてほしい「もしもの時のお守りリスト」について、私の実体験を元に、具体的かつ網羅的にご紹介します。
これさえあれば安心!子どもを守る「お守りリスト」完全版
このリストは、世話をしてくれる人(パパ、祖父母など)が、あなたがいなくても子どもの日常をスムーズに回せるように、そして何より子どもが安心して過ごせるようにするためのものです。すぐに取りかかれるよう、4つのカテゴリーに分けてみました。
カテゴリー1:情報編|命と健康を守る最重要リスト
これは、何よりも先に準備すべき最重要項目です。スマホのメモ機能や、印刷してクリアファイルに入れておくなど、誰が見てもすぐに分かる場所に保管しましょう。
- 緊急連絡先リスト:
- かかりつけの小児科(病院名、電話番号、診察時間)
- 夜間・休日救急相談窓口(#8000など)
- 保育園・幼稚園・学校の連絡先
- 習い事の連絡先
- 信頼できるママ友や近所の方の連絡先
- 子どもの医療情報:
- 健康保険証、医療証、母子手帳の保管場所
- アレルギーの有無(食べ物、薬、その他)と、症状が出た時の対処法
- 持病や定期的に飲んでいる薬の情報(薬の名前、飲む量、タイミング)
- 平熱、好きな食べ物・嫌いな食べ物、寝かしつけのコツなど
- あなたの医療情報:
- あなた自身のかかりつけ医の連絡先
- 持病の内容と、飲んでいる薬の情報
- 緊急時に連絡してほしい人の名前と連絡先
カテゴリー2:モノ編|日常を止めないための準備リスト
世話をしてくれる人が「あれどこ?」「これがない!」と困らないためのリストです。防災リュックを準備する感覚で、まとめておくと安心です。
- 子どものお世話セット(1〜2日分):
- 着替え、下着、パジャマ
- オムツ、おしりふき
- 常備薬、保湿剤、爪切りなど
- お気に入りの絵本やおもちゃ
- 食事セット:
- レトルトのお粥やうどん、ベビーフードなど、温めるだけですぐに食べられるもの
- 好きなふりかけ、お菓子、飲み物
- 書類・貴重品:
- 現金(病院の支払いやタクシー代など)
- 印鑑、通帳の保管場所
- 各種保険証券の保管場所
カテゴリー3:お金編|見落としがちな費用のリスト
急な入院では、意外とお金がかかるもの。誰かに立て替えてもらう場合も、後で精算しやすいようにリスト化しておくとスムーズです。
- 保育園・幼稚園の延長保育料
- 習い事の月謝や支払い日
- 学校の給食費や集金日
- ネットスーパーなどの定期購入サービスの支払い情報
カテゴリー4:心編|子どもの不安を和らげる魔法のリスト
ママがいない夜は、子どもにとって想像以上に不安なものです。そんな子どもの心を少しでも和らげるための、愛情のこもった準備です。
- ママからの手紙やビデオメッセージ: 「大好きだよ」「すぐに帰ってくるからね」という短いメッセージがあるだけで、子どもは安心します。
- パパ(預ける人)へ向けた「子どもの好きなことリスト」:
- 好きなテレビ番組やキャラクター
- 好きな遊びや、くすぐると喜ぶ場所
- 寝る前に歌ってほしい歌
- 子どもへの伝え方メモ: 「ママは、お腹の虫さんをやっつけに、病院というところに行くんだよ。お医者さんと一緒に戦って、強くなって帰ってくるからね」など、子どもが不安にならないような伝え方を、事前に考えてメモしておきましょう。
不安を「安心」に変えるのは、ほんの少しの行動力
リストアップしてみると、「準備することがたくさん…」と感じるかもしれません。でも、完璧を目指さなくて大丈夫。まずは、できるところから一つずつ手をつけてみてください。
この「お守りリスト」を作るという行為そのものが、あなた自身の心を整理し、漠然とした不安を具体的な「備え」へと変えてくれます。
持病と共に生きる私たちは、人一倍「もしも」を意識して生きています。でも、それは弱さなんかじゃありません。むしろ、本当に大切なものを守るための「強さ」です。
この記事が、あなたの不安を少しでも軽くし、「よし、やってみよう!」と一歩踏み出すきっかけになれたら、心から嬉しく思います。