「たんこぶ」で済ませて大丈夫?その判断が、子どもの未来を左右するかもしれない
元気いっぱいの子どもに、ケガはつきもの。
特に、歩き始めや遊びに夢中になる時期は、一瞬たりとも目が離せず、ヒヤッとすることも多いですよね。
中でも、頭をぶつけた時の親の動揺は計り知れません。
「ただのたんこぶ?それとも、病院に行くべき?」
「救急車を呼ぶのは、大げさすぎ?」
その一瞬の迷いが、取り返しのつかない事態に繋がる可能性もゼロではありません。
この記事では、小児科医の視点から、子どものケガ、特に頭をぶつけた際に、救急車を呼ぶべき危険なサインと、家庭で様子を見ても良い場合の判断基準を、具体的なチェックリスト形式で詳しく解説します。
なぜ、子どもの頭のケガは特に注意が必要なのか?
子どもの頭は、大人に比べて体が小さいため、相対的に重く、転んだ時に頭からぶつけやすいという特徴があります。また、頭蓋骨もまだ薄く、脳も発達段階で非常にデリケートです。
見た目は「小さなたんこぶ」でも、頭蓋骨の内側で出血(頭蓋内出血)が起こっている可能性があり、これが最も危険な状態です。頭蓋内出血は、数時間経ってから症状が現れることもあり、早期発見・早期治療が何よりも重要になります。
【緊急度MAX】今すぐ救急車を!危険なサイン・チェックリスト
以下の症状が一つでも見られる場合は、ためらわずに119番通報してください。
- 【意識】
- [ ] 呼びかけへの反応が鈍い、または全くない
- [ ] 意識を失った、けいれんを起こした
- [ ] だんだん眠り込んでいく
- 【呼吸】
- [ ] 呼吸が苦しそう、または不規則になっている
- 【見た目・様子】
- [ ] 頭から出血が止まらない
- [ ] 耳や鼻から、血液や透明な液体が出てきた
- [ ] ぶつけた部分が、ブヨブヨと膨らんでいる
- [ ] 嘔吐を繰り返す
- [ ] 手足の動きがおかしい、麻痺しているように見える
**迷った時は、#8000(子ども医療電話相談)**に電話して、指示を仰ぐのも良いでしょう。
【緊急度・中】診療時間内に病院へ。受診を検討すべきサイン
以下の症状が見られる場合は、救急車を呼ぶほどではないかもしれませんが、念のため、かかりつけの小児科や脳神経外科を受診しましょう。
- [ ] ぶつけた直後に一度だけ吐いたが、その後はケロッとしている
- [ ] 顔色が悪い、元気がない
- [ ] しきりに頭を痛がる
- [ ] 「いつもと何か違う」と親が感じる
親の「勘」は、非常に重要です。医学的な根拠がなくても、「何となくおかしい」と感じたら、それは受診のサインです。
【緊急度・低】家庭で様子を見ても良い場合
以下の条件をすべて満たす場合は、家庭で様子を見ても良いでしょう。
- [ ] 意識ははっきりしている
- [ ] ぶつけた直後も、いつもと変わらず元気に遊んでいる
- [ ] 食欲もあり、機嫌も良い
- [ ] 嘔吐やけいれんなど、上記の危険なサインが一つもない
ただし、最低でも24時間、できれば48時間は、子どもの様子を注意深く観察してください。 特に、お風呂や激しい運動は避け、静かに過ごさせましょう。
まとめ:迷ったら、ためらわずに専門家を頼ること
子どものケガを前にして、冷静でいられる親はいません。動揺し、不安になるのは当然のことです。
だからこそ、この記事のチェックリストを、お守りとして、冷蔵庫などいつでも見られる場所に貼っておくことをお勧めします。
そして、何よりも大切なのは、**「迷ったら、ためらわずに専門家を頼る」**という意識です。救急車を呼ぶことを、決して「大げさなこと」だと思わないでください。
あなたのその的確な判断が、愛する子どもの命と未来を守るのです。