その「褒め言葉」、逆に子どものやる気を奪っているかもしれません
「うちの子、もっと自信を持ってくれたらいいのに…」
「つい感情的に叱ってしまって、後でいつも自己嫌悪…」
子育てにおいて、永遠のテーマとも言える「褒め方」と「叱り方」。
良かれと思ってかけている言葉が、実は子どもの**「挑戦する心」をくじき、「どうせ僕なんて…」**という自己否定感に繋がっているとしたら、どうしますか?
子どもの自己肯定感は、生まれつきの性格だけで決まるものではありません。親からの日々の言葉かけ、特に「褒められる経験」と「叱られる経験」によって、大きく左右されます。
この記事では、子どもの「心の土台」を強くし、自ら伸びていく力を育むための、心理学に基づいた「褒め方」と「叱り方」の具体的なテクニックを解説します。
なぜ、自己肯定感が「生きる力」になるのか?
自己肯定感とは、「ありのままの自分を、良いところも悪いところも丸ごと受け入れ、価値ある存在だと信じる力」のことです。この力が高い子どもは、
- 失敗を恐れずに、新しいことに挑戦できる
- 困難な壁にぶつかっても、粘り強く乗り越えようとする
- 他人と比較せず、自分自身の成長を喜べる
- 他者への思いやりを持ち、良好な人間関係を築ける
など、予測困難な時代を生き抜く上で、不可欠な力を備えることができます。
【褒め方の技術】「結果」ではなく「プロセス」を褒める
NGな褒め方:「すごいね!」「頭いいね!」
一見、良い言葉に見えますが、能力や結果だけを褒め続けると、子どもは「良い結果を出さないと褒められない」と考えるようになります。すると、失敗を恐れて、難しいことへの挑戦を避けるようになってしまうのです。(=硬直マインドセット)
OKな褒め方:「I(アイ)メッセージ」で「プロセス」を具体的に伝える
ポイントは、「私」を主語にして、子どもの「努力」や「工夫」といった過程を、具体的に描写することです。
- (テストで良い点を取った時)
- NG: 「100点なんて、天才だね!」
- OK: 「毎日コツコツ勉強していたもんね。ママ、その頑張りを見ていて、本当にすごいなと思っていたよ!」
- (絵を上手に描いた時)
- NG: 「絵が上手だね!」
- OK: 「この色使い、とっても素敵だね!ママ、この色大好きだな。どうやって思いついたの?」
このように褒められると、子どもは「自分の頑張りを見ていてくれたんだ」と感じ、「次も頑張ろう」という内発的な意欲が湧いてきます。(=成長マインドセット)
【叱り方の技術】「人格」ではなく「行動」を注意する
NGな叱り方:「なんでそんなことするの!」「本当にダメな子ね!」
感情に任せて、子どもの人格そのものを否定する言葉は、百害あって一利なしです。「自分はダメな人間なんだ」という強烈な自己否定感を植え付け、親への不信感を募らせるだけです。
OKな叱り方:「I(アイ)メッセージ」で「行動」と「気持ち」を伝える
ここでも「I(アイ)メッセージ」が有効です。「私」を主語にして、問題となる「行動」と、それによって親がどう感じたかを、冷静に伝えます。
- (お友達を叩いてしまった時)
- NG: 「なんて乱暴な子なの!」
- OK: 「おもちゃを取られて、悲しかったんだね。(まずは共感)でも、お友達を叩くのは、ママはとても悲しいな。叩かれたお友達も、痛くて悲しい気持ちになるよ。今度は『貸して』って言葉で言ってみようか」
**「共感→Iメッセージでの指摘→代替案」**の3ステップで伝えることで、子どもは自分の行動を客観的に振り返り、次にどうすれば良いかを学ぶことができます。
まとめ:褒め方と叱り方は、親から子への「信頼」のメッセージ
効果的な「褒め方」「叱り方」に共通するのは、**「あなたのことを見ているよ」「あなたのことを信じているよ」**という、親から子への揺るぎない信頼のメッセージです。
結果や能力という「条件付きの愛情」ではなく、子どもの存在そのものを丸ごと受け入れる「無条件の愛情」を土台に、日々の言葉かけを少しだけ意識してみてください。
その小さな積み重ねが、子どもの中に、何物にも代えがたい「自分を信じる力」を育んでいくのです。