その小さな体が、突然ピクピクと…その時、あなたは冷静でいられますか?
高熱を出して眠っていた我が子が、突然、白目をむいて体を硬直させ、手足をガクガクと震わせ始めた。
その光景は、親にとって、まさに悪夢。
「どうしよう…!」
「救急車を呼ぶべき?」
「このまま、死んでしまうんじゃないか…」
子どもの熱性けいれんは、親にとって最も衝撃的で、そして最もパニックに陥りやすい状況の一つですよね。どう対応すればいいのか分からず、一人で抱え込んでいませんか?
こんにちは!3人の娘たちの子育ての中で、熱性けいれんを経験し、その度に冷静な対処を心がけてきた、現役ママナースの皐月です。
まず、あなたにお伝えしたいのは、熱性けいれんは、決して珍しいことではありません。 そして、ほとんどの場合、後遺症を残すことなく治まります。 大切なのは、正しい知識を持ち、冷静に対処することです。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、熱性けいれんの主な症状から、けいれんが起きた時の具体的な対処法、予防策、そして**「こんな時は病院へ」という受診の目安**まで、専門家の視点と実体験を交えて、徹底的に解説します。
さあ、お子さんの大切な体を守るための一歩を、一緒に踏み出しましょう。
熱性けいれんってどんな病気?症状と原因
熱性けいれんは、乳幼児期(生後6ヶ月〜5歳頃)に、発熱に伴って起こるけいれんです。脳が未熟なために、急激な体温の上昇に脳が過敏に反応して起こると考えられています。
主な症状
- 意識がなくなる: 呼びかけに反応しない、白目をむく、目が一点を見つめる。
- 全身の硬直: 体が突っ張って硬くなる。
- 手足のガクガク: 手足が左右対称に、リズミカルにガクガクと震える。
- 唇が紫色になる: 呼吸が一時的に止まるため、チアノーゼ(唇や顔色が紫色になる)が見られることがあります。
- 持続時間: ほとんどの場合、**数分以内(5分以内)**で治まります。
- けいれん後: けいれんが治まった後は、眠ってしまったり、ぐったりしたりすることが多いです。
原因
- 急激な体温の上昇: 発熱の初期、体温が急激に上昇するタイミングで起こりやすいです。
- ウイルス感染: 風邪やインフルエンザ、突発性発疹など、様々なウイルス感染が引き金となります。
- 遺伝的要因: 家族に熱性けいれんの既往がある場合、起こりやすい傾向があります。
<ママナースの視点>
熱性けいれんは、脳炎や髄膜炎などの重篤な病気と区別する必要があります。けいれんの様子をよく観察し、医師に正確に伝えることが重要です。
【緊急時】熱性けいれんが起きた時の対処法「5つのポイント」
けいれんが始まったら、親はパニックになりがちですが、以下のポイントを冷静に実践しましょう。
1.落ち着いて、時間を計る
- 最も重要です。 けいれんが始まった時間と、治まった時間を正確に計りましょう。5分以上続く場合は、救急車を呼ぶ目安になります。
2.安全を確保する
- 平らな場所に寝かせる: けいれん中に転落したり、頭をぶつけたりしないよう、安全な場所に寝かせましょう。
- 口の中に物を入れない: 舌を噛むのを防ごうと、指やタオルなどを口に入れるのは絶対にやめましょう。窒息の原因になったり、指を噛まれたりする危険があります。
- 衣服を緩める: 首元や胸元の衣服を緩め、呼吸を楽にしてあげましょう。
3.けいれんの様子を観察する
- 全身か、部分か: 体全体がけいれんしているのか、手足だけなのか、顔だけなのか。
- 左右対称か、非対称か: 左右の手足が同じように動いているか。
- 目の動き: 白目をむいているか、一点を見つめているか。
- 呼吸の様子: 呼吸が止まっているか、苦しそうか。
- 色: 顔色や唇の色はどうか。
可能であれば、スマートフォンなどで動画を撮影しておくと、医師の診断に非常に役立ちます。
4.吐き戻しに注意する
- けいれん中に吐いてしまうことがあります。吐物が喉に詰まらないよう、顔を横向きにしてあげましょう。
5.けいれんが治まったら
- 体を休ませる: けいれんが治まった後は、眠ってしまったり、ぐったりしたりすることが多いです。無理に起こさず、体を休ませてあげましょう。
- 病院へ: けいれんが治まったら、必ず医療機関を受診しましょう。初めてのけいれんの場合は、救急車を呼ぶか、夜間休日診療所を受診してください。
熱性けいれんの予防と再発防止
熱性けいれんを完全に予防することは難しいですが、再発のリスクを減らすための対策はあります。
1.発熱時の急激な体温上昇に注意
- 熱が上がり始めの時期に、体を温めすぎないように注意しましょう。薄着にし、室温を快適に保ちましょう。
2.解熱剤の適切な使用
- 熱性けいれんの既往があるお子さんの場合、発熱の初期に医師から処方された解熱剤を適切に使用することで、急激な体温上昇を抑え、けいれんの予防に繋がることがあります。必ず医師の指示に従いましょう。
3.抗けいれん剤の予防投与
- 熱性けいれんを繰り返すお子さんや、重症化のリスクが高いお子さんの場合、医師の判断で、発熱時に抗けいれん剤(ダイアップ坐薬など)を予防的に使用することがあります。これも必ず医師の指示に従いましょう。
【ママナースの視点】こんな時は病院へ!受診の目安
熱性けいれんが治まったら、必ず医療機関を受診しましょう。特に以下のような場合は、緊急性が高いので、迷わず救急車を呼んでください。
- けいれんが5分以上続く
- けいれんを繰り返す
- けいれんが左右非対称である
- けいれん後も意識が戻らない、ぐったりしている
- 発熱がないのにけいれんを起こした
- 生後6ヶ月未満でけいれんを起こした
- 頭を強く打った後にけいれんを起こした
- 嘔吐を繰り返す、首が硬いなど、髄膜炎や脳炎が疑われる症状がある
<受診時のポイント>
- けいれんが始まった時間と治まった時間
- けいれんの様子(全身か部分か、左右対称か非対称か、目の動きなど)
- けいれん前の様子、発熱の有無
- けいれん後の様子
などをメモしておくと、診察がスムーズに進みます。
まとめ:正しい知識が、親子の「安心」を育む
熱性けいれんは、親にとって非常に衝撃的な出来事ですが、正しい知識と冷静な対処法を知っていれば、慌てずに対応することができます。
大切なのは、けいれんの様子をよく観察し、安全を確保すること。
そして、けいれんが治まったら、必ず医療機関を受診することです。
あなたのその冷静な判断と、温かいサポートが、お子さんの回復を早める何よりの力になります。このガイドが、あなたの不安を少しでも和らげ、お子さんとご家族の健康を守る一助となれば幸いです。