魔の9ヶ月!夜泣きが再発する「睡眠の退行」の正体と親ができる乗り越え方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

「あんなに朝までぐっすり眠ってくれていたのに、なぜ…?」
「まるで新生児期に逆戻りしたみたい…」

生後9ヶ月頃、それまで順調だった夜の睡眠リズムが、突然、乱れ出すことがあります。夜中に何度も目を覚まし、火がついたように泣き叫ぶ。寝かしつけにも、以前の何倍もの時間がかかる…。

ママやパパは、深刻な睡眠不足と、「何か悪いことでもしただろうか」という不安で、心身ともに追い詰められてしまいますよね。

その現象、もしかしたら**「睡眠の退行(スリープリグレッション)」**かもしれません。

これは、赤ちゃんの成長過程で、一時的に睡眠パターンが崩れる現象のこと。決して、あなたの育て方が悪かったわけでも、赤ちゃんに異常が起きたわけでもありません。むしろ、赤ちゃんが順調に、めまぐるしく成長している証なのです。

この記事では、現役ママナースである私が、

  • なぜ生後9ヶ月に「睡眠の退行」が起こるのか、その3つの理由
  • 暗闇のトンネルを抜けるための、親ができる具体的な対処法
  • 「これだけはやってはダメ!」なNG対応

を、詳しく解説します。

この記事を読めば、終わりの見えない夜泣きへの絶望が、赤ちゃんの成長を喜ぶ前向きな気持ちに変わるはず。そして、この嵐のような時期を、親子で乗り越えるための具体的なヒントが見つかります。

なぜ?「睡眠の退行」が起こる3つの発達的理由

生後9ヶ月という時期は、赤ちゃんにとって、心と体が爆発的に成長する、まさに「激動の時代」です。その急成長が、睡眠に大きな影響を与えています。

1. 脳の発達:睡眠サイクルが、大人に近づいている証拠

赤ちゃんの睡眠は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を繰り返しています。生後9ヶ月頃になると、この睡眠サイクルが、より大人のパターンに近づいてきます。その結果、浅い眠りと深い眠りの切り替えがうまくいかず、眠りが浅くなったタイミングで、ふと目を覚ましてしまうのです。

2. 体の発達:ハイハイ・つかまり立ちが、楽しくて仕方ない!

この時期、多くの赤ちゃんが、ハイハイやずりばい、つかまり立ちをマスターします。日中に経験した、これらの新しい身体的な興奮が、夜になっても冷めやらず、脳を覚醒させてしまうのです。ひどい時には、寝ぼけたまま、ベビーベッドの中でつかまり立ちをして、自分で自分の状況に驚いて泣き出す、なんてこともあります。

3. 心の発達:「ママはどこ?」分離不安の高まり

ママやパパが、自分にとって特別な存在であることを、はっきりと認識し始めます。その結果、「ママがいないと不安」という**「分離不安」**が強くなります。夜中にふと目を覚ました時、隣にママの気配がないことに気づき、不安で泣き出してしまうのです。また、日中の後追いが激しくなるのも、この時期の特徴です。

嵐を乗り切る!親ができる具体的な対処法

この大変な時期を乗り切るために、親ができることは何でしょうか。

1. まずは「成長の証」と、おおらかに捉える

一番大切なのは、親が「これは、この子が順調に成長している証拠なんだ」と、前向きに捉えることです。「またか…」とため息をつくのではなく、「おお、脳が発達してるな」「つかまり立ちの練習、えらいぞ」と、心の中で実況中継するくらいの余裕を持つと、少しだけ気持ちが楽になります。

2. 日中の活動量を増やす

有り余るエネルギーを、日中にしっかり発散させてあげましょう。天気の良い日は、公園で思いっきりハイハイさせたり、児童館などで他の赤ちゃんと触れ合わせたりするのも良い刺激になります。体を動かして、心地よい疲れを感じさせることが、夜の深い眠りに繋がります。

3. 寝る前の「入眠儀式」を、より丁寧に

これまで行ってきた入眠儀式(ねんねルーティン)を、いつもより少しだけ丁寧に、時間をかけて行いましょう。

  • 部屋を暗くして、静かな音楽をかける。
  • 絵本を読む時間を、少しだけ長くする。
  • ベビーマッサージで、優しく肌と肌で触れ合う。

「これから、安心して眠る時間だよ」というメッセージを、赤ちゃんに根気強く伝えてあげることが大切です。

4. 安全な睡眠環境を再確認する

つかまり立ちを始めた赤ちゃんは、ベビーベッドの柵に頭をぶつけたり、思わぬものを踏み台にして乗り越えようとしたりする危険性があります。ベッドの周りに、余計なクッションやおもちゃなどを置かないようにし、安全な環境が保たれているか、今一度、確認しましょう。

これだけはNG!やってはいけない対応

良かれと思ってやったことが、かえって夜泣きを長引かせてしまうことがあります。

  • すぐに抱き上げる、授乳する: 赤ちゃんが少しでもぐずった瞬間に、すぐに抱き上げたり、おっぱいをあげたりするのはNGです。「泣けば、すぐに抱っこしてもらえる」「お腹が空いていなくても、おっぱいがもらえる」と学習してしまい、夜中に目を覚ます癖がついてしまいます。まずは数分、トントンや声かけで様子を見てみましょう。
  • 生活リズムを大きく変える: この時期を乗り切るために、お昼寝の時間を極端に減らしたり、就寝時間を大幅にずらしたりするのは、かえって生活リズムを崩す原因になります。これまで通りの、一貫した生活リズムを保つことが重要です。

まとめ:トンネルの出口は、必ずある

魔の9ヶ月の「睡眠の退行」は、親にとって、本当に過酷な時期です。

  • 原因は、赤ちゃんの脳・体・心の急成長にあると理解する。
  • 日中にしっかり活動させ、寝る前の入眠儀式を丁寧に行う。
  • 安易な抱っこや授乳に頼らず、一貫した対応を心がける。

この現象は、通常、2週間から6週間ほどで、自然と落ち着いてくると言われています。そう、必ず、終わりは来るのです。

今は、暗くて長いトンネルの中にいるように感じるかもしれません。でも、その先には、また一回り大きく成長した、我が子の輝く笑顔が待っています。

一人で抱え込まず、パートナーと協力し、時には周りのサポートも得ながら、この成長の嵐を乗り切ってください。応援しています。

コメントを残す

*