会陰切開の傷が開いた?ズキズキ痛む時の応急処置と受診目安をママナースが解説

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「もしかして、会陰切開の傷、開いちゃったかも…」
「ズキズキとした痛みがずっと続くけど、これって普通なの?」

出産という大仕事を終えたばかりの体で、自分の体の異変に気づいた時の不安と恐怖。誰にも相談できず、一人で抱え込んでいませんか?

その気持ち、痛いほどわかります。赤ちゃんのお世話で休む暇もない中、自分の体の痛みや不快感は後回しになりがちです。でも、産後のママの体は、あなたが思っている以上にデリケートで、適切なケアを必要としています。

「気のせいかな?」「みんなこれくらい痛いのかな?」と我慢しないでください。

この記事では、現役ママナースであり、3度の出産を経験した私が、

  • 産後の傷が開いてしまう「創部離開(そうぶりかい)」とは何か
  • 今すぐできる応急処置と、痛みを和らげるセルフケア
  • 「これは危険!」な症状と、すぐに病院を受診すべき目安

を、専門的かつ具体的に解説します。

この記事は、あなたの不安な心に寄り添う、産後のためのお守りです。正しい知識を身につけて、あなた自身の体を大切に守ってあげてください。

それ、普通じゃないかも。傷が開く「創部離開」とは

会陰切開や、出産時に自然に裂けた会陰部の傷(会陰裂傷)は、通常、溶ける糸で縫合されます。しかし、何らかの原因で、その傷口がくっつかずに開いてしまう状態を**「創部離開(そうぶりかい)」**と言います。

【創部離開が起こる主な原因】

  • 血腫(けっしゅ): 傷の内側で内出血が起こり、血の塊ができてしまうことで、皮膚がうまく接着しない。
  • 感染: 傷口から細菌が入り、炎症を起こしてしまう。
  • 物理的な負荷: くしゃみや咳、排便時の強いいきみ、長時間の座位などで、傷に強い圧力がかかる。

「私のせいだ…」と自分を責める必要は全くありません。これは、産後のママなら誰にでも起こりうるトラブルの一つなのです。

自宅でできる応急処置と痛みのセルフケア

「傷が開いたかも?」と思ったら、悪化させないために、そして痛みを少しでも和らげるために、以下のセルフケアを試してみてください。

1. 安静第一!とにかく傷に負担をかけない

当たり前のようですが、これが最も重要です。できるだけ横になる時間を増やし、傷に体重がかかるのを避けましょう。授乳時も、円座クッションを必ず使い、直接傷が当たらないように工夫してください。

2. 清潔を保つ

感染を防ぐため、傷を清潔に保つことが大切です。トイレの後は、ウォシュレットの弱い水流で優しく洗い流すか、ペットボトルなどにお湯を入れて作った「携帯用おしり洗浄器」で洗い流し、ゴシゴシこすらず、優しくティッシュで押さえるように水分を拭き取ります。

3. 患部を冷やす

ズキズキとした痛みや、熱を持っている感じがする時は、患部を冷やすと楽になります。清潔なガーゼやナプキンに保冷剤を包み、下着の上から5〜10分程度あててみましょう。ただし、冷やしすぎは血行を悪くするので注意してください。

4. 便秘を避ける

排便時にいきむと、傷に強い圧力がかかります。水分をしっかり摂り、食物繊維の多い食事を心がけましょう。それでも便が硬い場合は、我慢せず、産院で処方された下剤や、市販の酸化マグネシウム系の便秘薬を服用してください。

これは危険のサイン!すぐに産院に連絡・受診すべき症状

以下の症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ず、すぐに電話で産院に連絡し、指示を仰いでください。 夜間や休日でも、ためらわずに連絡することが大切です。

  • 我慢できないほどの強い痛みがある
  • 傷口から膿(うみ)のような、黄色や緑色のドロッとした分泌物が出ている
  • 分泌物から、生臭いような悪臭がする
  • 38度以上の発熱がある
  • 傷の周りが赤く、熱を持ってパンパンに腫れている
  • 出血が続く(悪露とは違う、傷からの新鮮な出血)

これらの症状は、感染を起こしている可能性が高いサインです。早期に適切な処置(再縫合や抗生物質の投与など)を受ければ、きれいに治ることがほとんどです。どうか、一人で悩まず、専門家を頼ってください。

まとめ:ママの体は後回しにしないで。あなたの健康が、家族の幸せ

産後の体のトラブルは、精神的にも大きなダメージを受けます。特に、会陰部の問題はデリケートで、誰にも言えずに一人で抱え込みがちです。

  • 産後の傷が開く「創部離開」は、誰にでも起こりうるトラブル。
  • まずは安静にし、清潔を保ち、痛い時は冷やすなどのセルフケアを。
  • 「強い痛み」「膿」「発熱」は危険のサイン。すぐに産院へ連絡を。

あなたの体は、命をかけて赤ちゃんを産んだ、誇り高い体です。そして、その体が健康であってこそ、笑顔で赤ちゃんのお世話ができるのです。

「これくらいで病院に行くなんて…」などと、決して思わないでください。あなたの心と体の健康が、家族にとって何よりの宝物なのですから。

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