「薬、イヤ!」の攻防戦、お疲れ様です。
「お薬飲めたね!」が、毎日のようにスムーズにいけば、どんなに楽か…。
粉薬をぶちまけられ、シロップを全力で拒否され、泣き叫ぶ我が子を前に、途方に暮れたことはありませんか?
何を隠そう、現役看護師である私も、我が子相手には「薬、イヤ!」の攻防戦で、何度も白旗を上げそうになりました。
「病気を治すためなのに、どうして分かってくれないの…」
「無理やり飲ませて、トラウマになったらどうしよう…」
そんな風に、自分を責めてしまうママ・パパも少なくないはず。
でも、安心してください。薬を嫌がるのは、子どもにとってごく自然なこと。そして、ほんの少しの工夫で、この戦いは驚くほど楽になるんです。
この記事では、ママナースである私が、我が子との格闘の末に見つけ出した「薬の飲ませ方」の裏ワザから、年齢・剤形別の具体的な対処法、そして「これだけは知っておいてほしい」注意点まで、徹底的に解説します。
もう、薬の時間に親子で涙する必要はありません。この記事を読めば、明日からのお薬タイムが、きっと笑顔に変わるはずです。
なぜ子どもは薬を嫌がるの?3つの大きな理由
まず、敵を知ることから始めましょう。子どもが薬を嫌がるのには、ちゃんとした理由があります。
1. 味・におい・食感が苦手
子どもは大人よりも味覚が敏感。特に、薬独特の苦味やにおいは、本能的に「危険なもの」と察知してしまいます。粉薬のザラザラ感や、シロップの妙なとろみも、子どもにとっては不快なものです。
2. 「飲まされる」という経験への抵抗
特に自我が芽生え始める1歳以降は、「自分でやりたい」という気持ちが強くなります。そんな時に、親から無理やり口に何かを入れられる経験は、強い抵抗感や恐怖心に繋がります。
3. 過去の嫌な記憶(トラウマ)
一度でも無理やり薬を飲まされたり、薬を飲んだ後に吐いてしまったりした経験があると、それがトラウマになってしまうことも。「薬=嫌なこと」という記憶が、頑なな拒否につながるのです。
【年齢・剤形別】ママナース直伝!薬の飲ませ方完全マニュアル
さあ、ここからが本番です。お子さんの年齢や薬のタイプに合わせて、具体的な方法を見ていきましょう。
0歳~1歳(乳児期):味覚が未発達な時期がチャンス!
この時期は、まだ味覚が発達しきっていないため、比較的スムーズに飲んでくれることが多いです。
粉薬
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基本のキ:少量の水で練ってペースト状に
- 清潔な小皿に薬を出す。
- スポイトで1~2滴の水を加え、指でペースト状に練る。
- 清潔な指で、赤ちゃんの頬の内側や上あごに塗りつけ、その後、水やミルク、母乳を飲ませる。
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裏ワザ:哺乳瓶の乳首を活用
少量の水で溶いた薬を、哺乳瓶の乳首の内側に塗り、そのまま吸わせる方法も有効です。
シロップ薬
- 基本のキ:スポイトやスプーンで
スポイトや目盛り付きのシロップ容器を使い、喉の奥ではなく、頬の内側に向かって少しずつ流し込みます。むせないように、赤ちゃんのペースに合わせてあげましょう。
1歳~3歳(イヤイヤ期):”自分で”を尊重するのが鍵
自我が芽生え、イヤイヤ期に突入するこの時期は、一番の正念場かもしれません。「自分でやりたい」気持ちを逆手にとるのがポイントです。
粉薬・シロップ薬共通
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魔法のアイテム「おくすり飲めたね」に頼る
もはや説明不要の神アイテム。ゼリー状のオブラートが、薬の味・におい・食感を丸ごと包み込んでくれます。ぶどう味、いちご味など、子どもの好きな味を選んであげましょう。 -
「どれにする?」作戦
「おくすり飲めたね」の味を数種類用意したり、好きなキャラクターの小皿をいくつか見せて、「どのお皿で飲む?」と子ども自身に選ばせることで、「自分で決めた」という満足感が得られ、すんなり飲むことがあります。 -
アイスクリームやヨーグルトに混ぜる
薬によっては、混ぜることで効果が弱まったり、逆に苦味が増したりするものがあります。必ず、事前に薬剤師さんに確認しましょう。 一般的に、チョコレート味のアイスや、酸味の少ないヨーグルトは、薬の味をマスキングしやすいと言われています。
3歳以降(幼児期~):理由を話して、納得感を
言葉でのコミュニケーションが取れるようになったら、「なぜ薬を飲む必要があるのか」を、子どもの分かる言葉で伝えてあげましょう。
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ヒーロー作戦
「このお薬を飲むと、お腹の中のバイキンマンをやっつけられるんだよ!」「〇〇(子どもの名前)ヒーロー、出動だ!」など、ごっこ遊びの要素を取り入れると、楽しく飲めることがあります。 -
ご褒美作戦
「お薬がんばったら、好きなテレビを10分長く見ようか」「シールを1枚貼ろうね」など、小さなご褒美を用意するのも効果的です。
これだけは守って!薬を飲ませる時の重要注意点
安全に、そして確実に薬の効果を得るために、以下の点は必ず守ってください。
1. 混ぜるものには要注意!
前述の通り、薬には相性の悪い食べ物や飲み物があります。
- NG例:
- 牛乳・乳製品: 一部の抗生剤など
- 柑橘系のジュース(オレンジ、グレープフルーツなど): 苦味が増す薬がある
- スポーツドリンク: ミネラルが薬の吸収を妨げることがある
自己判断は絶対にせず、必ず薬剤師さんに確認してください。
2. 食前・食後・食間、指示は必ず守る
薬は、飲むタイミングによって効果や副作用の出方が変わります。医師や薬剤師の指示は、必ず守りましょう。
- 食前: 食事の30分~1時間前
- 食後: 食事の後30分以内
- 食間: 食事と食事の間(食後2時間後が目安)
3. 無理やりは最終手段、でも時には必要
何を試してもダメな時、そして、その薬が子どもの命や健康に関わる重要なものである場合は、心を鬼にして飲ませなければならない場面もあります。
その際は、手早く、安全に。そして、終わった後は「よく頑張ったね、偉かったね」と、たくさん褒めて、ぎゅっと抱きしめてあげてください。あなたの愛情は、必ず子どもに伝わります。
まとめ:薬の時間は、親子の絆を深めるチャンスにもなる
子どもの薬の時間は、多くの親にとって頭の痛い問題です。しかし、ほんの少しの知識と工夫、そして何より「治ってほしい」という愛情があれば、必ず乗り越えられます。
今回ご紹介した方法を参考に、ぜひ、お子さんに合った「これなら飲める!」という方法を見つけてみてください。
そして、もし上手くいかなくても、決して自分を責めないでくださいね。あなたがお子さんのために一生懸命になっていること、それ自体が、何より素晴らしいことなのですから。
この記事が、少しでも多くのママ・パパのお役に立てれば嬉しいです。