【被災地のママナースが語る】災害時、持病のある家族をどう守る?「薬・情報・避難」の備え完全ガイド

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

「その時」に、家族の命を守れますか?

地震、台風、そして大雨…。いつ、どこで起こるか分からない自然災害。防災リュックの準備や、食料の備蓄をしているご家庭も多いと思います。

でも、もし、あなたやあなたの大切な家族に「持病」があったら?その備えは、本当に十分だと言えるでしょうか。

「薬がなくなったら、どうしよう…」
「人工呼吸器の電源が落ちたら…」
「避難所で、周りの人に病気のことを理解してもらえるだろうか…」

私自身、ぜんそく持ちであると同時に、ナースとして被災地での医療支援に携わった経験があります。そこで目の当たりにしたのは、平時であればコントロールできていたはずの持病が、災害という極限状況下で、いとも簡単に命を脅かす現実でした。

情報が錯綜し、ライフラインが途絶え、誰もが混乱している中で、持病のある人やその家族は、計り知れない不安と困難に直面します。

この記事は、単なる防災グッズの紹介ではありません。持病のある方、そしてそのご家族が、災害という過酷な状況を乗り越え、生き抜くために、**「これだけは絶対に準備しておいてほしい」**と、私が心から伝えたい、命を守るための具体的な備えです。

命の三本柱:「薬」「情報」「避難」の備え

持病のある方の防災は、この三本柱で考えます。一つでも欠けると、命の危険が格段に上がってしまいます。今すぐ、あなたの備えをチェックしてみてください。

1.【薬の備え】最低でも1週間分。命綱をどう確保するか

災害時、交通網の麻痺や医療機関の混乱で、薬が手に入らなくなる可能性は非常に高いです。

  • お薬のローリングストック:
    • 内服薬・注射薬: 最低でも**7日分(できれば14日分)**は、常に手元に確保しておきましょう。病院で処方される際に、少し多めにもらえないか、かかりつけ医に相談してみてください。
    • 在宅医療で使う物品: 経管栄養のチューブや、吸入器のバッテリー、ストーマの装具なども、多めにストックしておくことが重要です。
  • お薬手帳は「最強のカルテ」:
    • 常に携帯する防災ポーチに、お薬手帳のコピーを必ず入れておきましょう。スマホで写真を撮っておくのも有効です。薬の名前、用法・用量が分かれば、かかりつけ医以外でも処方を受けやすくなります。
    • 「ジェネリック医薬品でもOK」という方は、その旨をメモしておくと、手に入りやすい薬を処方してもらえる可能性が高まります。

2.【情報の備え】あなたは「歩くカルテ」。情報をどう携帯・伝達するか

もし、あなたが意識を失ってしまったら?もし、パニックでうまく説明できなくなったら?「情報」の備えが、あなたと家族を救います。

  • 防災ヘルプカード:
    • 名刺サイズのカードに、以下の情報を簡潔にまとめて、常に携帯しましょう。
      • 氏名、生年月日、血液型
      • 持病名(アレルギー、ぜんそく、糖尿病、心臓病など)
      • 飲んでいる薬の名前と用法・用量
      • 緊急連絡先(家族、かかりつけ医)
      • 「この薬を飲ませてください」「119番に電話してください」など、具体的なお願い
  • スマホの活用:
    • スマホのロック画面に、緊急連絡先や持病の情報を表示する設定をしておきましょう。
    • お薬手帳やヘルプカードの写真を撮っておくのも忘れずに。

3.【避難の備え】どこに、どう逃げるか。シミュレーションが命を救う

持病の種類によっては、一般的な避難所での生活が困難な場合があります。

  • 福祉避難所の確認:
    • 高齢者や障害者、持病のある人などが優先的に入れる「福祉避難所」が、お住まいの自治体に指定されているか、必ず確認しておきましょう。場所だけでなく、受け入れの条件(要介護度など)も事前に確認しておくことが重要です。
  • 電源の確保:
    • 人工呼吸器やたんの吸引器など、電源が必要な医療機器を使っている方は、ポータブル電源の準備が不可欠です。車のシガーソケットから充電できるタイプのものもあります。
  • かかりつけ医との事前相談:
    • 災害時に、病院のどのあたりに集まれば良いか、透析などの治療はどうなるのかなど、具体的な動きを事前に相談しておきましょう。その安心感が、いざという時の冷静な判断に繋がります。

「助けて」と言える環境づくりも、大切な防災

災害時は、誰もが大変です。そんな中で「迷惑をかけたくない」と、助けを求めることをためらってしまうかもしれません。

でも、あなたの命より大切なものはありません。日頃から、ご近所さんやマンションの管理人さん、民生委員の方などに、「実は持病があって、もしもの時は助けてもらえると嬉しいです」と、それとなく伝えておくことも、立派な防災活動です。

災害は、いつか必ず来ます。でも、正しい知識と具体的な備えがあれば、その被害を最小限に食い止め、大切な家族の命を守ることは、決して不可能ではありません。

この記事をきっかけに、ぜひ今日、あなたの「命の備え」を見直してみてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメントを残す

*