「ごめんね、ママ、今日は走れないんだ」子どもの悲しそうな顔に、胸が痛むあなたへ
公園で楽しそうに走り回る子どもたちと、そのあとを笑顔で追いかけるママ友。
そんな、ありふれた日常の風景が、ナイフのように胸に突き刺さる。
「ごめんね、ママ、今日は腰が痛くて走れないんだ」
「発作が出ちゃうから、その公園は行けないかな…」
持病があることで、他のママたちと同じようにしてあげられない。やりたいことを、させてあげられない。そんな不甲斐なさと罪悪感で、子どもの寝顔に何度も謝った夜はありませんか?
ぜんそく、アトピー、アレルギー、腰痛、頭痛、婦人科系の疾患…。多くのママたちが、言わないだけで何かしらの持病と闘いながら、育児という名のマラソンを走っています。
私自身も、看護師という仕事柄、腰痛は職業病のようなもの。そして、季節の変わり目には、決まってひどいアレルギー性鼻炎に悩まされます。
この記事では、そんな「持病持ちママ」である私たちが、自分を責めずに、もっと賢く、もっと自分に優しく育児を乗り切るための具体的なセルフケアと、子どもとの向き合い方について、ママナースとしての視点からお伝えします。
「私が我慢すればいい」は一番危険!持病持ちママの鉄則
まず、絶対に心に刻んでほしいこと。それは、**「自分のケアは、子どものケアと同じくらい、いや、それ以上に重要だ」**ということです。
「私が少し我慢すれば、この場は収まるから…」
その優しさが、一番危険なサインです。持病の悪化は、QOL(生活の質)を著しく低下させるだけでなく、最悪の場合、育児そのものを困難にしてしまいます。
ママが倒れてしまっては、元も子もありません。あなたの健康は、あなた一人のものではなく、家族みんなの宝物なのです。
【疾患別】ママナースが実践する、持病との上手な付き合い方
ここでは、多くのママが悩む代表的な疾患別に、具体的なセルフケアや工夫をご紹介します。
ぜんそく・アレルギー持ちママの場合
- 完璧な掃除は諦める: ハウスダストを気にするあまり、掃除で無理をして発作を誘発しては本末転倒。ロボット掃除機や空気清浄機をフル活用し、自分の労力は最小限に。
- 「吸入薬」をお守りに: 発作が起きていなくても、お守りとして常に吸入薬を持ち歩く。それだけで精神的な安心感が違います。
- 子どもへの伝え方: 「ママね、お外のホコリさんを吸うと、咳が出ちゃうんだ。だから、お掃除ロボくんにお願いしてるの」など、病気をキャラクター化して伝えると、子どもも理解しやすいです。
腰痛・関節痛持ちママの場合
- 抱っこは座ってする: 立って抱っこするのではなく、自分がソファなどに座って、膝の上で抱っこする癖をつける。
- おむつ替えは「高さ」を意識: 床ではなく、ベビーベッドやテーブルの上など、腰をかがめなくていい高さにおむつ替えスペースを作る。
- 便利グッズに頼る: ヒップシートは神アイテム。電動自転車や、荷物がたくさん入る軽いマザーズバッグも、腰への負担を大きく減らしてくれます。
頭痛・めまい持ちママの場合
- 「予兆」を感じたら、すぐ休む: 「これくらい大丈夫」と我慢しない。光や音の刺激を避け、静かな部屋で5分でも横になる。
- カフェイン・アルコールを避ける: 自分の体調のトリガー(引き金)になるものを把握し、意識的に避ける。
- サングラスや遮光カーテンを活用: 光の刺激が辛い場合は、室内でもサングラスをかけたり、遮光カーテンを閉めたりして、自分を守りましょう。
子どもに「病気のこと」、どう伝える?
子どもは、ママの様子を敏感に感じ取っています。体調が悪いことを隠そうとすると、かえって子どもを不安にさせてしまうことも。
年齢に合わせて、正直に、そして分かりやすく伝えることが大切です。
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幼児期(3~5歳):
- 「ママ、今お腹がシクシクさんだから、ちょっとだけゴロンさせてね」
- 「このお薬を飲んだら、元気パワーが出てくるんだよ」
- 難しい言葉は使わず、具体的に、シンプルに。安心させてあげる言葉を添えるのがポイントです。
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学童期(6歳~):
- 「ママにはね、〇〇っていう持病があって、疲れちゃうと少し休みが必要なんだ」
- 「だから、時々お手伝いしてくれると、ママ、すごく助かるな」
- 少し具体的に話し、子どもが「自分もママを助けられる存在だ」と感じられるように、協力をお願いするのも良い方法です。
病気をオープンに話すことで、子どもは人の痛みが分かる、優しい子に育ちます。そして、家族というチームで病気に立ち向かう、強い絆が生まれるのです。
まとめ
持病を抱えながらの育児は、決して平坦な道ではありません。周りと比べては落ち込み、自分を責めてしまう日も、一度や二度ではないでしょう。
でも、あなたは何も悪くない。そして、あなたは一人ではありません。
持病があるからこそ、人の痛みが分かる。
持病があるからこそ、工夫して生きる知恵が身につく。
持病があるからこそ、周りの助けを借りる大切さを知っている。
それは、あなただけの、そしてあなたの子どもにとっての、かけがえのない強みです。
どうか、頑張りすぎないで。完璧じゃない自分を、丸ごと抱きしめてあげてくださいね。