「もーっ! なんであなたは、いっつもそうなの!?」
「早く〇〇しなさいって言ってるでしょ!」
「いい加減にして!」
…カッとなった時、あるいは子どもに何かを伝えたい時、つい、こんな風に「あなた(You)」を主語にして、相手を責めたり、指示したりする言葉を使ってしまっていませんか?
言った後で、「あんなに強く言うつもりじゃなかったのに…」と自己嫌悪に陥ったり、子どもの反発にあって、さらにイライラが募ったり…そんな悪循環、経験ありますよね。
こんにちは!湘南で子育て中の、3姉妹の母で現役看護師、「こそだて部」の皐月です。
私も昔は、感情的になるとつい「あなた」を主語にして、娘たちを責めるような言い方をしてしまい、後で激しく後悔…なんてことが日常茶飯事でした(涙)。
でも、ある「伝え方のコツ」を知ってから、そんな悪循環がぐっと減り、親子関係が驚くほどスムーズになったんです。それが、今回のテーマ「アイメッセージ(私メッセージ)」です!
これは、主語を「あなた(You)」から「私(I)」に変えて、自分の気持ちや状況を伝えるコミュニケーション方法のこと。「ママ(パパ)はこう思うな」「ママは〇〇してくれると嬉しいな」といった伝え方ですね。
今回の「#ワンポイント育児」では、
- なぜ「あなたメッセージ」は、ぶつかりやすいのか?
- 「アイメッセージ」が持つ、驚きの効果とは?
- 今日から使える!「アイメッセージ」の簡単な作り方【3ステップ】
について、心理学の知見(ゴードン・メソッドなど)や、看護師として大切にしているコミュニケーションの視点、そして我が家の体験談を交えながら、分かりやすく解説します。
この「主語を変える」だけの小さな工夫が、親子関係に大きな変化をもたらすかもしれませんよ!
「あなたメッセージ」が招く悪循環とは?
まず、私たちがつい使ってしまいがちな「あなたメッセージ」(Youメッセージ)が、なぜコミュニケーションを難しくするのかを見てみましょう。
- 相手は”責められている”と感じ、反発・防御したくなる:
「(あなたは)なんで〇〇しないの!」「(あなたは)いつも散らかして!」といった言葉は、相手への非難や批判として受け取られがちです。責められたと感じると、人は素直に話を聞く気になれず、「だって…」「でも…」と言い訳したり、反発したり、心を閉ざしたりしてしまいます。 - ”人格否定”に聞こえてしまうことも:
「(あなたは)本当にダメね」「(あなたは)わがままね」のように、行動だけでなく相手の人格そのものを否定するような響きを持つことがあります。これは子どもの自己肯定感を深く傷つけます。 - ”本当の気持ち”が伝わりにくい:
実は、「なんで〇〇しないの!」という怒りの裏には、「(時間通りに行動してくれなくて)ママは困っている」「(危ないことしないでほしくて)心配だ」といった、親自身の気持ちや困りごとが隠れていることが多いです。しかし、「あなたメッセージ」では、それが伝わらず、ただ相手を責める言葉だけが届いてしまいます。 - ”問題解決”から遠ざかる:
非難と反発の応酬は、建設的な話し合いには繋がりません。お互いに嫌な気持ちになるだけで、本来解決したかったはずの問題から、どんどん遠ざかってしまいます。
「アイメッセージ」が親子関係を劇的に変える理由
そこで登場するのが「アイメッセージ」(私メッセージ)です! 主語を「私(I)」に変えるだけで、コミュニケーションの質がガラリと変わります。
- 理由1:”自分の気持ち”を正直かつ穏やかに伝えられる【自己表現】
「(私は)〇〇されて悲しい」「(私は)〇〇だと心配になる」「(私は)〇〇してくれると嬉しい」のように、自分の感情や考え、要望を、主観的な事実として伝えることができます。これは、自分の気持ちを押し殺さず、相手に正直に伝える健全な自己表現です。 - 理由2:”相手への非難”が減り、聞く耳を持ってもらいやすい【受容促進】
主語が「私」なので、相手は「責められている」と感じにくくなります。「ママはこう感じているんだな」と、相手の話を冷静に聞き、受け入れやすくなるのです。その結果、子どもの方から「そっか、ママは嫌だったんだね」と、こちらの気持ちを理解しようとしてくれる可能性が高まります。 - 理由3:相手に”行動の影響”を具体的に伝えられる【理由付け】
「(あなたが〇〇すると)、(私は)△△な気持ちになる(なぜなら□□だから)」という形で伝えることで、子どもの行動が、親にどのような影響を与えているのかを具体的に伝えることができます。(例:「大きな声を出されると、ママは頭が痛くなっちゃうんだ」)これにより、子どもは自分の行動の結果を理解しやすくなります。 - 理由4:”共感”と”協力”を引き出す【関係構築】
親が自分の正直な気持ち(特に、怒り以外の「悲しい」「困った」「心配」などの一次感情)を伝えることで、子どもは親の気持ちに共感しやすくなります。「ママを困らせたくないな」「協力してあげたいな」という気持ちが芽生え、自発的な行動の変化や協力に繋がりやすくなるのです。これは、親子間の信頼関係を深める上でも非常に効果的です。
皐月’s Point: この「アイメッセージ」は、臨床心理学者のトマス・ゴードン博士が提唱した「親業(P.E.T.)」というコミュニケーション法の中核的な考え方の一つです。看護の場面でも、患者さんやご家族、スタッフ同士のコミュニケーションにおいて、相手を尊重し、協力関係を築くために、この「私」を主語にする伝え方は非常に重視されています。
実践!今日から使える「アイメッセージ」の作り方【3ステップ】
難しそうに聞こえるかもしれませんが、作り方は意外とシンプル!3つの要素を意識してみましょう。
ステップ1:「(私は)〇〇と感じている」と”自分の気持ち”を述べる
- ポイント: まず、自分の本当の感情(嬉しい、悲しい、心配、困った、助かる、など)を明確にします。「怒り」を感じている時も、その裏にある「悲しかった」「心配だった」などの一次感情に気づけると、より効果的です。
- 例: 「ママは、悲しいな」「パパは、心配だよ」「私は、嬉しい!」「ママは、困ってるんだ」
ステップ2:”相手の行動”(具体的に、客観的に)を述べる
- ポイント: 「あなた」を主語にせず、起こっている「事実」や「行動」を、評価や非難を入れずに具体的に描写します。「いつも」「絶対」などの決めつける言葉も避けましょう。
- 例: 「(あなたが)大きな声を出していると」「おもちゃが床に広がっていると」「約束の時間になってもゲームを続けていると」「〇〇ちゃんがお手伝いしてくれると」
ステップ3:”自分への影響”や”理由”を伝える(必要な場合)
- ポイント: その行動が、自分にどんな具体的な影響を与えているか、あるいはなぜそう感じるのかを付け加えます。これにより、子どもは状況を理解しやすくなります。
- 例: 「(大きな声を出していると)、(私は)頭が痛くなっちゃうんだ」
「(おもちゃが床に広がっていると)、(ママは)歩きにくくて危ないと感じるんだ」
「(約束の時間になってもゲームを続けていると)、(ママは)夕飯の準備が遅れるんじゃないかと心配になるんだ」
「(お手伝いしてくれると)、(ママは)すごく助かるし、嬉しい気持ちになるんだ」
【組み合わせ例】
- (Youメッセージ)「なんで大きな声出すの!うるさい!」
→ (Iメッセージ)「(私は)大きな声が聞こえると、ちょっと頭が痛くなっちゃうんだ。もう少し静かにしてくれると嬉しいな」 - (Youメッセージ)「また散らかして!片付けなさい!」
→ (Iメッセージ)「(私は)おもちゃが床に広がっていると、踏んでしまいそうで心配だな。一緒に片付けてくれると助かるな」
最初は難しくても、この「気持ち+行動+影響/理由」の型を意識するだけで、伝え方が変わってきますよ!
皐月のリアル体験談:カッとなった時の「私メッセージ」変換
以前、娘たちが姉妹ゲンカをして、お互いを激しく責め合っていた時がありました。私もカッとなって、「二人ともいい加減にしなさい! なんでそんな意地悪言うの!」と、完全に「あなたメッセージ」で怒鳴ってしまったんです。結果は…火に油を注ぐだけで、ケンカはエスカレート(涙)。
その時、ふと「アイメッセージ」を思い出して、深呼吸してから、こう言い直してみました。
「…ママは、二人がそんな風に言い争っているのを聞いていると、すごく悲しい気持ちになるな。お互いを傷つけあっているように見えて、心配だよ。」
すると、あれだけヒートアップしていた二人が、ピタッと動きを止め、私の顔をじっと見たんです。そして、少しバツが悪そうに、「…ごめん」と。
私が自分の「悲しい」「心配」という気持ちを伝えたことで、彼女たちも冷静になり、私の気持ちを少し想像してくれたのかもしれません。あの時の、場の空気が変わった感覚は、忘れられません。もちろん、いつも成功するわけではありませんが、「私」を主語にするだけで、伝わり方が全く違うことを実感しました。
まとめ:「私」を主語にするだけで、伝わり方が変わる!
つい相手を責めてしまいがちな「あなたメッセージ」から、
自分の気持ちや状況を正直に伝える「アイメッセージ」へ。
主語を「私」に変える、たったそれだけの工夫で、
- 無用な対立が減り、
- 相手が話を聞く耳を持ちやすくなり、
- 本当の気持ちが伝わり、
- 共感と協力が生まれやすくなる。
これは、親子関係だけでなく、夫婦関係や職場など、あらゆる人間関係をより良くするための、普遍的なコミュニケーションの知恵とも言えますね。
最初は意識しないと難しいかもしれません。でも、カッとなった時、何かを伝えたい時、一瞬立ち止まって「『私』を主語にしたら、どう言えるかな?」と考えてみる。その練習が、あなたと、そしてお子さんの未来のコミュニケーションを、きっと豊かにしてくれるはずです。
「アイメッセージ、使ってみたらこんな効果がありました!」「こんな時、どうやって伝えたらいい?」など、あなたの体験談や疑問も、ぜひコメントで教えてくださいね!
「#ワンポイント育児」で、一緒に心地よいコミュニケーションを練習していきましょう!参考になったら、いいね!やシェアをお願いします♪
次回の「#ワンポイント育児」もお楽しみに!
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