「私がしっかりしなきゃ、この子たちを守らなきゃ」

災害の混乱の中、あなたはきっと、ご自身の不安や恐怖は後回しにして、お子さんのために必死で気を張り詰めていることでしょう。その責任感の強さ、本当に、本当にすごいです。毎日お疲れ様です。

でも、少しだけ、立ち止まってご自身の心に耳を澄ませてみてください。
「疲れたな…」「怖いな…」「もう、いやだな…」
そんな本音が聞こえてきませんか?

忘れないでください。あなたも、被災した一人の人間です。不安で、怖くて、当たり前なんです。親である前に、一人の人間として、自分の心を守る権利があります。

私自身、看護師として働きながら3人の子育てをする中で、何度も心が折れそうになりました。特に、災害のような極限状態では、親の心は張り詰めた糸のように、いつ切れてもおかしくありません。

この記事は、そんな風に頑張りすぎている、あなたのために書きました。子どもを守るために、まずあなた自身の心を守る。そのための具体的なヒントを、ママナースとして、そして同じ親として、お伝えしたいと思います。

あなたは一人じゃない。親が抱える災害時のストレス

災害時、親は「子どもを守る」という大きなプレッシャーと、自分自身の被災者としてのストレス、二重の負担を抱えています。

  • 終わりの見えない不安:余震、食料、これからの生活…。次から次へと押し寄せる不安に、心が休まる時がありません。
  • 子どものケアによる疲労:慣れない環境でぐずったり、夜泣きしたりする子どものケアで、心身ともに疲弊してしまいます。
  • 「完璧な親」でいなければというプレッシャー:「子どもの前では笑顔でいなきゃ」「弱音を吐いてはいけない」と、無意識に自分を追い詰めていませんか?
  • 孤立感:周りもみんな大変そうで、気軽に「助けて」と言えない。一人で全てを抱え込んでしまいがちです。

心が壊れる前に。今日からできる3つのセルフケア

特別なことは必要ありません。避難生活の隙間時間でできる、心を少しだけ軽くするための方法です。

1. 「1日5分」だけ、自分の時間を作る

たとえ5分でも、意識的に「親」や「被災者」であることを忘れる時間を作りましょう。

  • 方法:温かい飲み物をゆっくり飲む、好きな音楽をイヤホンで聴く、目を閉じて深呼吸する。なんでも構いません。一人になって、ホッと一息つくだけで、心は少し充電されます。

2. 「つらい」と声に出して言う

感情を溜め込むのは、心にとって一番の毒です。信頼できる人に、あなたの気持ちを話してみませんか?

  • 誰に話す?:パートナー、親、友人、誰でも構いません。もし周りに話せる人がいなければ、SNSの鍵付きアカウントで吐き出すだけでも、気持ちは楽になります。
  • ポイント:アドバイスを求める必要はありません。「ただ、聞いてもらう」だけでいいんです。「つらかったね」と共感してもらうだけで、心は驚くほど軽くなります。

3. 「できたこと」を数える

災害時は、「あれもできていない」「これも足りない」と、ないものばかりに目が行きがちです。でも、そんな時だからこそ、意識して「できたこと」を数えてみませんか?

  • :「今日も、子どもにご飯を食べさせられた」「子どもを笑顔にできた」「一日、無事に過ごせた」。どんなに小さなことでも構いません。
  • 効果:自分を肯定し、自己嫌悪に陥るのを防いでくれます。「私、ちゃんとやれてる」という感覚が、明日への力になります。

【皐月のひとこと】
私も、仕事と育児でパンクしそうな時、よくやります。寝る前に、手帳に今日できたことを3つだけ書き出すんです。「子どもを叱らなかった」「ご飯を作った」「笑った」。本当に些細なことですが、これだけで「私、今日も頑張ったな」と、自分を認めてあげられるんです。ぜひ、試してみてください。

まとめ:あなたが笑顔でいることが、一番の防災

子どもは、親の笑顔が大好きです。あなたが心から笑っている時、子どもは一番安心します。

だから、子どものために、まずあなた自身が笑顔になれるように、自分の心を大切に、たくさん甘やかしてあげてください。

「助けて」と周りに頼ること、弱音を吐くことは、決して恥ずかしいことではありません。それは、あなたと、あなたの大切な家族を守るための、賢明で、勇気ある行動です。

あなたは、一人ではありません。どうか、そのことを忘れないでくださいね。