その小さな命を前に、あなたは冷静な判断ができますか?
夜中に突然、子どもが苦しそうに咳き込み始めた。
遊んでいたはずが、急にぐったりして意識が朦朧としている。
「どうしよう…!」
「救急車を呼ぶべき?」「それとも、夜間病院に連れて行くべき?」
子どもの急病は、親にとって最もパニックに陥りやすく、そして最も冷静な判断が求められる瞬間ですよね。一刻を争う状況で、どうすればいいのか分からず、一人で抱え込んでいませんか?
こんにちは!救急外来での勤務経験もあり、数えきれないほどの緊急性の高い事例を見てきた、現役ママナースの皐月です。
まず、あなたにお伝えしたいのは、子どもの急病時、親の「いつもと違う」という直感は、非常に重要であるということ。そして、正しい知識と準備があれば、慌てずに適切な対応ができるということです。
この記事では、そんなあなたの不安を解消するために、緊急度の高い症状と、救急車を呼ぶべきか、病院に行くべきかの判断基準、緊急時の応急処置、そして医療機関への連絡方法まで、専門家の視点と実体験を交えて、徹底的に解説します。
さあ、お子さんの大切な命を守るための一歩を、一緒に踏み出しましょう。
なぜ?どうして?子どもの急病で親が迷うワケ
子どもの急病時、親が判断に迷うのには、いくつかの理由があります。
- 症状が急変しやすい: 子どもは大人に比べて、病状が急激に変化することがあります。さっきまで元気だったのに、急にぐったりすることもあります。
- 症状を伝えられない: 特に乳幼児は、自分のつらさや症状を言葉でうまく伝えることができません。親が観察し、判断する必要があります。
- 情報が多すぎる: インターネットやSNSには様々な情報が溢れており、どれが正しい情報なのか、どれを信じればいいのか分からなくなることがあります。
- 「大したことない」と後悔したくない: 病院に行かずに様子を見て、もしものことがあったら…という後悔を恐れる気持ちがあります。
<ママナースの視点>
迷った時は、「重い病気だったらどうしよう」という最悪のケースを想定して行動するのが、お子さんの命を守る上で最も安全な選択です。過剰な受診を恐れるよりも、手遅れになることを恐れましょう。
【緊急度別】救急車を呼ぶ?病院に行く?判断に迷う症状と対応
ここでは、子どもの急病時によく見られる症状を、緊急度別に分類し、それぞれの対応について解説します。
レベル1:すぐに救急車を呼ぶべき症状(命に関わる可能性が高い)
以下の症状が見られた場合は、ためらわずに119番に電話し、救急車を要請してください。
- 意識がない、呼びかけに反応しない、ぐったりしている
- けいれんが5分以上続く、けいれんを繰り返す
- 呼吸が苦しそう(肩で息をしている、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする、陥没呼吸、唇が紫色)
- 頭を強く打った後に、意識がない、何度も吐く、手足の麻痺がある
- 大量の出血がある、止血できない
- 広範囲のやけど、水ぶくれがひどい
- 毒物や異物を飲み込んだ(意識がない、ぐったりしている場合)
- 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の熱を出した
レベル2:夜間・休日でも受診を検討すべき症状(緊急性が高い)
以下の症状が見られた場合は、夜間休日診療所や、救急外来を受診しましょう。
- 熱が下がってもぐったりしている、元気がない
- 水分が全く摂れない、おしっこが半日以上出ていない(脱水症状)
- 激しい腹痛が続く、お腹がパンパンに張っている
- 嘔吐や下痢が頻繁に続く、血便が出る
- 発疹を伴う発熱で、全身に広がる、または紫色の斑点がある
- 耳を痛がり、激しく泣き止まない
- 手足が腫れて痛がる、動かせない
- 持病がある場合の発熱や体調不良
レベル3:翌日以降に受診を検討すべき症状(緊急性は低い)
以下の症状が見られた場合は、翌日以降にかかりつけ医を受診しましょう。
- 熱はあるが、比較的元気で水分も摂れている
- 鼻水や咳が続くが、食欲もあり元気
- 軽い下痢だが、水分も摂れていて元気
- 軽い擦り傷や切り傷
【緊急時】親ができる応急処置と準備
いざという時に慌てないために、日頃から準備をしておきましょう。
1.応急処置の基本
- 冷静になる: まずは深呼吸し、落ち着きましょう。親がパニックになると、子どもも不安になります。
- 安全確保: 周囲の危険なものを取り除き、安全な場所に移動させましょう。
- 観察: 症状の様子(いつから、どんな症状か、変化はどうか)をよく観察し、メモしておきましょう。可能であれば、動画を撮影しておくと、医師の診断に役立ちます。
- 救急箱の準備: 必要なものがすぐに取り出せるように、救急箱を常備しておきましょう。
2.緊急時の連絡先を把握しておく
- かかりつけ医の連絡先: 夜間・休日の対応時間や連絡先を確認しておきましょう。
- 地域の小児救急電話相談(#8000): 迷った時に、看護師や医師に電話で相談できます。全国どこからでも同じ番号で繋がります。
- 救急安心センター事業(#7119): 救急車を呼ぶべきか、病院に行くべきか迷った時に、電話で相談できます。地域によって実施状況が異なります。
3.病院受診時の持ち物
- 健康保険証、乳幼児医療証、診察券
- 母子手帳、お薬手帳
- 着替え、おむつ、ミルク、お気に入りのおもちゃ
- 症状をメモしたもの、動画
まとめ:親の直感を信じ、迷ったら「相談」を
子どもの急病は、親にとって本当に心配なことです。
しかし、「いつもと違う」という親の直感は、何よりも大切なサインです。その直感を信じ、迷ったら一人で抱え込まず、地域の小児救急電話相談(#8000)や、かかりつけ医に相談しましょう。
そして、日頃から正しい知識を身につけ、いざという時に備えておくこと。
あなたのその冷静な判断と、温かいサポートが、お子さんの命を守る何よりの力になります。このガイドが、あなたの不安を少しでも和らげ、お子さんとご家族の健康を守る一助となれば幸いです。