鏡に映る自分にため息…「この体、本当に元に戻るの?」
妊娠前のジーンズが、全く入らない。
ぽっこりと出たままのお腹、たるんでしまったお尻、たくましくなった二の腕…。
鏡を見るたびに、ため息をついていませんか?
「早く体型を戻さなきゃ」と焦る気持ちとは裏腹に、24時間体制の育児に追われ、自分のための時間なんて、1分たりともないのが現実ですよね。
ご安心ください。産後の体型戻しは、闇雲にハードな運動をすれば良いというものでは、決してありません。
この記事では、助産師として多くの産後ママの身体と向き合ってきた経験から、産後の身体のメカニズムを正しく理解し、無理なく、しかし効果的に体型を戻すための、正しい骨盤ケアと、すきま時間でできる宅トレ習慣をご紹介します。
なぜ、産後に体型は崩れるのか?まずは敵を知ろう!
産後の体型変化の最大の原因は、妊娠・出産によって、骨盤が大きく開き、歪んでしまうことにあります。
骨盤は、内臓を支える土台です。この土台がグラグラの状態だと、
- ぽっこりお腹: 内臓が下がり、下腹部がぽっこりと出てしまう。
- お尻が大きくなる・垂れる: 開いた骨盤の周りに、脂肪がつきやすくなる。
- 腰痛・肩こり: 歪んだ骨盤で全身のバランスが崩れ、様々な不調を引き起こす。
- 代謝の低下: 骨盤周りの血流が悪くなり、痩せにくく、太りやすい体質になる。
つまり、産後の体型戻しは、まず、この「開いて歪んだ骨盤」を、正しい位置に戻してあげることが、最優先課題なのです。
【産後1ヶ月〜】焦らないで!まずは骨盤ケアから
産後すぐは、出産で負ったダメージを回復させるのが第一。激しい運動は絶対にNGです。
この時期にできる、最も効果的なケアが**「骨盤ベルト」と「骨盤底筋トレーニング」**です。
1. 骨盤ベルトを正しく着ける
骨盤ベルトは、開いた骨盤を外側からサポートし、安定させてくれる心強い味方です。しかし、着ける位置を間違えると、効果がないばかりか、逆効果になることも。
正しい位置は、「おへそ」ではなく、「骨盤」です。 腰骨の出っ張った部分(大転子)と、恥骨を通るように、地面と平行に巻くのがポイント。産後すぐから、少なくとも産後2ヶ月頃までは、日中、着用するようにしましょう。
2. 骨盤底筋トレーニング(膣トレ)を習慣にする
骨盤底筋は、骨盤の底で、ハンモックのように内臓を支えている筋肉です。出産で大きなダメージを受けるこの筋肉を鍛えることが、骨盤の安定、そして尿もれ予防に繋がります。
【やり方】
- 仰向けに寝て、膝を立てます。
- 息をゆっくり吐きながら、膣と肛門を、きゅーっと締めます。(おしっこを途中で止めるようなイメージ)
- 5〜10秒キープしたら、ゆっくりと息を吸いながら、力を抜きます。
これを、10回1セットとして、1日に数回行いましょう。授乳中や、寝る前など、気づいた時にいつでもできる簡単なトレーニングです。
【産後2ヶ月〜】すきま時間でOK!無理なく続く宅トレ習慣
体調が安定してきたら、少しずつ運動を取り入れていきましょう。ポイントは、「頑張らない」こと。赤ちゃんが寝ている5分、10分でできる簡単なもので十分です。
- プランク: うつ伏せになり、肘とつま先で体を支えるトレーニング。体幹全体を鍛え、ぽっこりお腹に効果絶大です。まずは30秒キープから目指しましょう。
- ヒップリフト: 仰向けで膝を立て、お尻をきゅっと締めながら、ゆっくりと持ち上げます。垂れたお尻を引き締めるのに効果的です。
- スクワット: 「キング・オブ・トレーニング」とも呼ばれるスクワットは、下半身全体の引き締めに繋がります。赤ちゃんを抱っこしながら行えば、負荷がアップし、赤ちゃんもご機嫌に。
まとめ:自分を慈しむ時間が、ママを笑顔にする
産後の体は、10ヶ月かけて赤ちゃんを育んだ、誇らしい体です。
すぐに元に戻らないのは、当たり前のこと。
周りのキラキラしたママや、SNSの情報に惑わされて、焦る必要は全くありません。
大切なのは、自分の体の声に耳を傾け、いたわるように、優しくケアしてあげること。
今日から、ほんの5分でも、自分のための時間を作ってみませんか?
その少しの積み重ねが、あなたの心と体を、確実に、健やかで美しい状態へと導いてくれるはずです。