その「食べさせ方」、逆効果かも?子どもの「食べない」には理由がある

せっかく栄養バランスを考えて作ったのに、そっぽを向かれてしまう…。
一口も食べてくれなかった料理を、泣く泣く捨てる時の、あの虚しさ。

子どもの「偏食」「少食」は、親にとって、精神的にも肉体的にも、本当に骨の折れる悩みですよね。

「うちの子、このままじゃ栄養失調になっちゃう…」
「どうして、あの子みたいに、何でも食べてくれないの…」

その焦りや不安、痛いほど分かります。しかし、無理やり食べさせようとすることは、子どもを食事嫌いにさせる最悪の選択です。

この記事では、管理栄養士として、多くの子どもの食の悩みと向き合ってきた経験から、偏食・少食の「なぜ?」を解き明かし、食事が楽しい時間になるための具体的なレシピと、魔法のテクニックをご紹介します。

なぜ、うちの子は食べてくれないの?考えられる4つの理由

  1. 感覚が敏感(感覚過敏): 特定の味、匂い、食感(ドロドロ、パサパサなど)を、本能的に受け付けない子どもがいます。これは、わがままではなく、生まれ持った特性です。
  2. 食わず嫌い(新奇性恐怖): 人間には、見慣れない食べ物を警戒する本能があります。特に、子どもの頃はその傾向が強く現れます。
  3. お腹が空いていない: 食事の時間になっても、お腹が空いていなければ、食べられないのは当然です。間食の時間や量を見直してみましょう。
  4. 楽しくない食事の時間: 「早く食べなさい!」「残さず食べなさい!」と、親が叱ってばかりいると、子どもにとって食事は「苦痛な時間」になってしまいます。

「食べた!」を引き出す、3つの魔法のテクニック

魔法1:調理法を「変身」させる

苦手な食材は、見た目や食感が分からなくなるように「変身」させてしまいましょう。

  • 刻んで、混ぜ込む: ピーマンや人参などの野菜は、細かく刻んで、ハンバーグやミートソース、チャーハンに混ぜ込んでしまえば、気づかずに食べてくれることも。
  • すりおろして、溶け込ませる: 大根やリンゴなどをすりおろして、カレーやスープ、ホットケーキの生地に加えると、栄養価も風味もアップします。
  • ペーストにして、隠し味に: ほうれん草や小松菜は、茹でてペースト状にし、ポタージュスープやミートソースに少量加えるのがおすすめです。

魔法2:「自分で」やらせてみる

子どもは、「自分でやった」という達成感が大好きです。食事の準備に巻き込んでしまいましょう。

  • レタスをちぎる
  • ミニトマトのヘタを取る
  • ハンバーグのタネをこねる
  • おにぎりを握る

「自分が作った」という特別感が、苦手な食材へのハードルを下げてくれます。

魔法3:食卓を「イベント」にする

いつもの食卓に、少しだけ「非日常」を取り入れてみましょう。

  • 型抜きを使う: ご飯や野菜を、星やハートの型で抜くだけで、子どもは大喜びします。
  • お弁当箱に詰めてみる: いつもと同じおかずでも、お弁当箱に詰めて、リビングやベランダで食べるだけで、ピクニック気分を味わえます。
  • 「お子様ランチ」風に盛り付ける: 一つのプレートに、ご飯、おかず、デザートを少しずつ乗せ、旗を立ててあげれば、スペシャル感が満載です。

【管理栄養士考案】栄養満点!お助けレシピ

レシピ:野菜たっぷり!煮込みハンバーグ

【材料】

  • 合いびき肉…200g
  • 玉ねぎ(みじん切り)…1/4個
  • 人参(すりおろし)…大さじ2
  • ピーマン(みじん切り)…1/2個
  • パン粉、牛乳…各大さじ3
  • (ソース)カットトマト缶…1/2缶、ケチャップ・中濃ソース…各大さじ1、コンソメ…小さじ1/2

【作り方】

  1. 玉ねぎ、人参、ピーマンを、ひき肉、パン粉、牛乳と粘りが出るまでよく混ぜ、小判型に成形する。
  2. フライパンで両面に焼き色をつけ、ソースの材料をすべて加えて、蓋をして弱火で10分ほど煮込む。

まとめ:親の「まあ、いっか」が、子どもの食を育む

子どもの偏食や少食は、すぐに解決する問題ではないかもしれません。

でも、大丈夫。一口も食べない日があったって、栄養が偏ったって、長い目で見れば、子どもの成長に大きな影響はありません。

何よりも大切なのは、親が、神経質になりすぎないこと。

「食べなくても、死にはしない」「いつか食べるようになるだろう」

そんな「まあ、いっか」の精神で、どっしりと構えていることが、結果的に、子どもが安心して食事と向き合える環境を作ります。

食事が、親子にとって「戦いの時間」ではなく、「笑顔の時間」になることを、心から願っています。