「地震が起きた時、この本棚が倒れてきたら…」

子どもの寝顔を見ながら、ふとそんな恐怖を感じたことはありませんか?

災害時、私たち親が一番に守りたいのは、もちろん子どもの命です。しかし、その命を脅かす危険は、家の「外」だけでなく、「中」にも潜んでいます。普段は何気なく使っている家具や家電が、地震の揺れによって、一瞬で子どもを傷つける凶器に変わってしまうことがあるのです。

私自身、看護師として救急の現場にいた時、地震による家具の転倒で大怪我をされた方を何人も見てきました。その経験があるからこそ、「家庭内の安全対策」は、防災の中でも特に重要だと強く感じています。

「でも、何から手をつけていいか分からない…」

大丈夫です。専門的な知識がなくても、大掛かりな工事をしなくても、今日からできる対策はたくさんあります。

この記事では、現役ママナースの私が、子どもの命を守るために本当に必要な「お部屋の防災」について、具体的なステップで分かりやすく解説します。ぜひ、お子さんの安全な未来のために、一緒に取り組んでいきましょう。

なぜ「部屋の防災」が子どものために重要なのか?

阪神・淡路大震災や熊本地震では、亡くなった方の多くが、家屋の倒壊や家具の転倒による圧死・窒息死でした。特に、体の小さく、危険を察知して逃げるのが難しい子どもは、家具転倒の大きなリスクに晒されています。

  • 逃げ遅れる危険:子どもは大人よりも判断力や行動力が未熟なため、倒れてくる家具から瞬時に身をかわすことが困難です。
  • 避難経路が塞がれる:倒れた家具がドアや廊下を塞ぎ、逃げ道を失ってしまう危険性もあります。
  • ガラスの飛散:割れた窓ガラスや食器棚のガラスが散乱し、素足で逃げる子どもの足に大怪我を負わせることもあります。

「うちは大丈夫」という油断が、一番の敵。まずは、家の中の危険な場所をチェックすることから始めましょう。

【今すぐチェック!】お部屋の危険度診断リスト

お子さんが一番長く過ごすリビングや子ども部屋、寝室に、こんな場所はありませんか?

  • [ ] 子どもが寝ている場所に、背の高い家具(タンス、本棚など)が置いてある
  • [ ] テレビや電子レンジが、固定されずに置かれている
  • [ ] 食器棚や窓ガラスに、飛散防止フィルムが貼られていない
  • [ ] 子どものベッドの周りに、落ちてくると危ないもの(額縁、おもちゃなど)が飾られている
  • [ ] 避難経路(部屋のドアから玄関まで)に、物が置かれている

一つでもチェックが付いたら、要注意。すぐに対策を始めましょう。

ママナースが実践する!子どもの命を守る3つの安全対策

難しいことはありません。ホームセンターや100円ショップのグッズを活用して、今すぐできる対策をご紹介します。

1. 家具は「固定する」が絶対のルール

これが最も重要です。L字金具や突っ張り棒、粘着マットなどを使って、家にある全ての背の高い家具を固定しましょう。

  • L字金具:壁にネジで固定するため、最も強度が高い方法です。壁に穴を開ける必要がありますが、確実性を求めるならこれ。
  • 突っ張り棒式:家具と天井の間で突っ張るタイプ。壁を傷つけずに設置できますが、定期的に緩んでいないかチェックが必要です。
  • 粘着マット:家具の底に敷くだけで、揺れを吸収し、転倒を防ぎます。テレビや電子レンジの固定に最適です。

【皐月のひとこと】
我が家では、娘たちのベッドがある部屋には、そもそも背の高い家具を置かないようにしています。「倒れてくるものがない」のが、一番の安全対策。もし置く場合は、必ずL字金具で壁にガッチリ固定しています。少しの手間が、子どもの命を守るんです。

2. ガラスは「飛散防止フィルム」を貼る

地震の揺れで割れたガラスは、鋭い刃物となって襲いかかってきます。

  • 貼る場所:窓ガラス、食器棚の扉、ガラス扉のリビングボードなど、家中のガラスに貼りましょう。
  • 効果:フィルムを貼っておけば、万が一割れても、ガラスが飛び散るのを防ぎ、怪我のリスクを大幅に減らすことができます。

3. 寝室は「安全地帯」にする

一日の1/3を過ごす寝室は、家の中で最も安全な場所であるべきです。

  • ベッドの周りには物を置かない:頭の上に、落ちてくる可能性のあるものは絶対に置かないでください。
  • 懐中電灯とスリッパを常備:夜中に地震が起きても、すぐに明かりを確保し、安全に移動できるように、枕元にセットで置いておきましょう。

まとめ:お部屋の安全対策は、最高の愛情表現

防災グッズを備えることも大切ですが、まずは子どもが毎日過ごす家の中を安全な場所に整えることが、防災の第一歩です。

「うちの子は、私が絶対に守る」。その強い想いを、ぜひ、お部屋の安全対策という具体的な行動で示してあげてください。

それは、お子さんへの最高の愛情表現だと、私は思います。さあ、今日はお部屋のどこか一箇所からでも、安全対策を始めてみませんか?