はじめに:「またおねしょ…」その言葉に、あなたは心を痛めていませんか?
「ママ、またおねしょしちゃった…」
毎朝、しょんぼりした顔で報告に来る我が子。
びっしょり濡れた布団やパジャマを見て、「またか…」と、ため息をついてしまう。
「どうして、うちの子だけ…」
「このままずっと続くのかな…」
「もしかして、何か病気なの?」
子どものおねしょは、親にとって本当に悩ましく、そしてデリケートな問題ですよね。どう対応すればいいのか分からず、一人で抱え込んでいませんか?
こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。
私自身も、娘たちのおねしょに悩んだ経験があります。でも、看護師として、そして母として、おねしょが子どもの体の発達と深く関わっていることを痛感しています。
この記事では、そんなあなたの不安に寄り添い、子どものおねしょの主な原因、家庭でできる対策、そして病院を受診すべき目安をママナースの視点から分かりやすく解説します。
さあ、お子さんの「スッキリ!」と、親子の笑顔を取り戻すための一歩を、一緒に踏み出しましょう。
なぜ子どもはおねしょをするの?~夜尿症の主な原因~
おねしょは、医学的には「夜尿症(やにょうしょう)」と呼ばれます。5歳を過ぎても月に数回以上おねしょをする場合を指します。おねしょは、子どもの体の発達が未熟なために起こるものであり、決して子どもの「わがまま」や「怠け」ではありません。
1.抗利尿ホルモンの分泌不足
夜、寝ている間におしっこをしないためには、脳から分泌される**「抗利尿ホルモン」**が十分に働く必要があります。このホルモンは、夜間に作られるおしっこの量を減らす働きをします。このホルモンの分泌が安定するのは、個人差が大きく、5歳以降と言われています。
2.膀胱の容量が小さい
朝までおしっこを溜めておけるだけの、十分な膀胱の容量が必要です。膀胱の容量も、子どもの成長とともに徐々に大きくなっていきます。
3.睡眠中の排尿コントロールが未熟
寝ている間におしっこを我慢したり、尿意を感じて目を覚ましたりする能力は、脳の発達とともに獲得されます。深い眠りについていると、尿意を感じても目を覚ますことができず、おねしょをしてしまうことがあります。
4.遺伝的要因
両親のどちらか、または両方が子どもの頃におねしょをしていた場合、子どももおねしょをする可能性が高いと言われています。
5.生活習慣の乱れ
寝る前の水分摂取量が多い、寝る時間が不規則、冷えなど、生活習慣の乱れがおねしょの原因となることもあります。
6.心理的要因
ストレスや環境の変化(引っ越し、転園・転校、きょうだいの誕生など)が、一時的におねしょを引き起こすこともあります。
<ママナースの視点>
おねしょは、子どもの体の発達が未熟なために起こるものであり、決して子どもの「わがまま」や「怠け」ではありません。親が子どもを責めたり、怒ったりすると、子どもは精神的な負担を感じ、おねしょがさらに悪化する可能性があります。
家庭でできるおねしょ対策
おねしょは、家庭での対策が非常に重要です。焦らず、根気強く続けることが大切です。
1.生活習慣の見直し
- 寝る前の水分摂取を控える: 寝る直前の水分摂取は控えめにしましょう。ただし、喉が渇いているのを我慢させる必要はありません。
- 寝る前に必ずトイレに行く習慣をつける: 寝る前のルーティンとして、必ずトイレに行く習慣をつけましょう。
- 規則正しい生活リズム: 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるなど、規則正しい生活リズムを心がけましょう。
- 体を冷やさない: 寝冷えはおねしょの原因になります。腹巻をする、寝具を工夫するなどして、体を冷やさないようにしましょう。
2.寝具の工夫
- 防水シーツを活用する: 布団が濡れるのを防ぐために、防水シーツは必ず敷いておきましょう。親の洗濯の負担を減らすことで、おねしょに対するストレスを軽減できます。
- トレーニングパンツを活用する: 夜間のおむつ外しを始めたばかりの頃は、吸水性のあるトレーニングパンツから始めるのも良いでしょう。
3.親の関わり方
- 失敗しても、絶対に叱らない: おねしょは、本人のせいではありません。「大丈夫、大丈夫。次はできるよ」と、優しく声をかけてあげてください。親が、おねしょを「大したことじゃない」という態度でいることが、子どもの「失敗への恐怖心」を取り除き、再チャレンジへの意欲を育てます。
- 成功体験を積み重ねる: 朝までおむつが濡れていなかった日や、おねしょをしなかった日には、「すごいね!」「できたね!」とたくさん褒めてあげましょう。子どもの自信に繋がり、次へのモチベーションになります。
- 周りと比べない: 子どもの発達には個人差があります。周りの子と比べて、「うちの子はまだ…」と焦る必要は全くありません。お子さんのペースが一番です。
こんな時は病院へ!受診の目安
ほとんどのおねしょは、成長とともに自然に治っていきますが、以下のような場合は、迷わず専門医を受診しましょう。
1.受診を検討すべき目安
- 5歳を過ぎても、月に数回以上おねしょが続く場合。
- 一度おねしょが治ったのに、再びおねしょをするようになった場合(二次性夜尿症)。
- おねしょ以外にも、日中のおもらしや、排尿回数が多いなど、排尿に関する他の症状がある場合。
- おねしょの回数が急に増えた、またはおねしょの量が増えた場合。
- おねしょが原因で、子どもが精神的な負担を感じている場合(自信をなくしている、友達との交流を避けるなど)。
- 親が、おねしょに対して強いストレスを感じている場合。
2.主な相談先
- かかりつけの小児科医: まずは、普段からお子さんのことをよく知っている小児科医に相談しましょう。夜尿症の専門医や、泌尿器科を紹介してくれることもあります。
- 夜尿症専門外来: 小児科や泌尿器科の中に、夜尿症専門外来を設けている病院もあります。専門的な診断と治療を受けることができます。
- 地域の保健センター・子育て支援センター: 保健師さんなどが相談に乗ってくれます。地域の支援情報も教えてくれます。
<ママナースの重要メモ>
おねしょは、子どもの成長とともに自然に治っていくことが多いですが、治療が必要な場合もあります。早期に適切な診断と治療を受けることで、子どもも親も、より安心して過ごせるようになります。決して一人で抱え込まず、専門家を頼ってください。
まとめ:おねしょは、親子の絆を深めるチャンス
子どものおねしょは、親にとって悩ましい問題ですが、それは、子どもの体の発達が未熟なために起こる、ごく自然な現象です。
完璧な対策を目指す必要はありません。大切なのは、親が焦らず、子どもの成長を信じて見守り、失敗しても温かくサポートしてあげることです。
そして、何よりも、おねしょを通じて、親子の絆を深めるチャンスと捉えることです。子どもが安心して「おねしょしちゃった」と報告できる関係を築いてあげてください。
あなたのその愛情と、忍耐が、お子さんの健やかな成長と、親子の笑顔を育む、何よりの力になります。