はじめに:その腹痛、本当に体の病気ですか?
「お腹が痛い」「頭が痛い」と、子どもが体の不調を訴える。病院に連れて行って検査をしても、「特に異常はありませんね」と言われる…。そんな経験はありませんか?もしかしたら、その症状、**心のストレスが原因で体に現れる「心因性症状」**かもしれません。
こんにちは、ママナースのさとみです。心因性症状は、子どもが決して「嘘をついている」わけでも、「仮病を使っている」わけでもありません。言葉でうまく表現できない心の「SOS」が、体の痛みとして現れているのです。
この記事では、子どもによく見られる心因性症状と、その背景に隠されたストレスの原因、そして親としてどう向き合い、サポートしていけば良いのかについて、解説します。
子どもによく見られる心因性症状の例
心因性症状は、体の様々な部分に現れます。
- 腹痛: 特に、登園・登校前など、特定の状況で痛みを訴えることが多いです(過敏性腸症候群など)。
- 頭痛: 緊張やストレスが続くと、頭痛を訴えることがあります。
- めまい、立ちくらみ
- 吐き気
- 頻尿、おもらし
- チック症: 頻繁なまばたき、顔をしかめる、咳払いなど、本人の意思とは関係なく、体の一部が動いてしまう症状。
これらの症状は、小児科や耳鼻科、眼科などを受診しても、体に異常が見つからないのが特徴です。
なぜ?子どものストレス、主な原因は?
大人が気づかないような、ささいなことが、子どもの心に大きな負担をかけていることがあります。
- 環境の変化: 入園・入学、クラス替え、転校、引っ越し、弟や妹の誕生など。
- 園・学校での人間関係: 友達とのトラブル、先生との相性、いじめなど。
- 家庭内の問題: 夫婦喧嘩、親からの過度な期待、厳しいしつけなど。
- 習い事のプレッシャー: 発表会や試合への緊張、練習がうまくいかないことへの悩み。
子どもは、自分のストレスを「〇〇が嫌だ」と、うまく言葉で説明することができません。そのため、心のSOSが、体の症状として現れてしまうのです。
親としてできること:安心感という「処方箋」
心因性症状への対応で最も大切なのは、「気のせいでしょ」と否定せず、まずはその痛みを「本当の痛み」として受け止めてあげることです。
1. まずは、体の病気の可能性を否定する
症状が続く場合は、まずは小児科を受診し、体に隠れた病気がないかをしっかり調べてもらうことが大前提です。その上で、医師から「心因性の可能性」を指摘されたら、心のケアに目を向けていきましょう。
2. 「共感」と「安心感」を伝える
「お腹、痛いんだね。つらいね」「学校に行くのが、ちょっとドキドキするのかな?」と、まずは子どもの気持ちに寄り添い、共感してあげましょう。「何があっても、お父さんとお母さんはあなたの味方だよ」というメッセージを伝え、家庭が「心の安全基地」であることを感じさせてあげることが、何よりの薬になります。
3. スキンシップと、話を聞く時間を増やす
ぎゅっと抱きしめたり、背中をさすってあげたり。肌と肌のふれあいは、安心ホルモン「オキシトシン」の分泌を促し、子どもの心を落ち着かせます。また、寝る前の5分でも良いので、子どもと一対一で、ゆっくり話を聞く時間を作りましょう。その日の出来事や、楽しかったこと、嫌だったこと…。ただ、うんうんと聞いてあげるだけで、子どもの心は軽くなります。
4. 完璧を求めず、休息を許可する
「学校に行きたくない」と訴えるなら、無理に行かせる必要はありません。「今日は、ゆっくり休もうか」と、心と体を休ませてあげることも大切です。頑張り屋さんの子どもほど、休息が必要です。
まとめ:体の痛みは、心の叫び
原因不明の体の不調は、子どもからの「私の心を見て」という、切実なメッセージです。
そのメッセージを、「気のせい」「怠けている」と無視するのではなく、正面から受け止めてあげましょう。
親が、子どもの一番の理解者となり、安心感を与えてあげること。それが、子どもがストレスを乗り越え、再び元気に一歩を踏み出すための、最大の力となるはずです。