「もうやらない!ぜったい!!」
床に崩れ落ちて、涙ポロポロ…。
あんなに一生懸命、目をキラキラさせて取り組んでいたのに、たった一度の失敗で、「もう二度とやらない!」と心を閉ざしてしまう。そんなお子さんの姿を見るのは、親として本当に切なく、胸が締め付けられますよね。
「なんて声をかけたらいいんだろう…」
「このまま、挑戦しない子になっちゃったらどうしよう…」
ママ、パパ、その不安な気持ち、すごくよく分かります。
3姉妹の母で現役看護師、「こそだて部」の皐月です。
我が家の娘たちも、積み木が崩れた時、自転車で転んだ時、テストで悪い点を取った時…何度も「もうやらない!」と宣言してきました。そのたびに、「なんとかしなきゃ!」って焦る気持ちと、「そっとしておくべき?」っていう迷いで、私の心も揺れ動きました。
でも、失敗して落ち込んだ経験は、決して無駄じゃないんです。むしろ、親の関わり方次第で、その悔しさをバネにして、もっと強く、しなやかに成長するための最高のチャンスに変えることができる!
今日は、
- 「もうやらない!」の裏にある、子どもの繊細な心の声
- 良かれと思って逆効果!?心が折れた子へのNG対応
- 折れた心を”しなやかな強さ”に変える!【魔法の声かけ&関わり方5つのステップ】
- 失敗体験こそ、最高の「心のワクチン」である理由
について、現役看護師として学んだ心のケアの視点や、心理学の「成長マインドセット」の考え方も取り入れながら、具体的にお伝えしていきます。
この記事が、お子さんの「立ち直る力(レジリエンス)」を育み、「またやってみようかな」という小さな勇気を引き出すお手伝いができれば嬉しいです。
「もうやらない!」の裏にある、子どもの繊細な心【ママナースが寄り添う】
大人の目から見れば些細な失敗でも、子どもにとっては世界の終わりのように感じられることもあります。「もうやらない!」という言葉の裏には、こんな気持ちが渦巻いているのかもしれません。
- 悔しさ・悲しさ: 「あんなに頑張ったのに!」「期待通りにいかなかった…」という純粋な失望感。
- 怒り: 上手くいかなかったことや、自分自身に対する腹立たしさ。
- 恥ずかしさ・劣等感: 「失敗するところを見られた」「自分はダメなんだ」と感じてしまう気持ち。
- また失敗する恐怖: 「次もきっとうまくいかない」「また嫌な気持ちを味わいたくない」という自己防衛。
- 自信喪失: 「やっぱり自分には才能がないんだ」という思い込み(固定マインドセット)。
これらのネガティブな感情に、子どもは一人でどう対処していいか分からず、心を閉ざしてしまうのです。まずは、その感情の存在を否定せず、しっかりと受け止めてあげることが、立ち直りの第一歩になります。看護師としても、体の痛みだけでなく、心の痛みに寄り添うことの大切さを日々感じています。
良かれと思って逆効果!?心が折れた子へのNG対応
心配するあまり、ついこんな対応をしていませんか? 子どもの心をさらに傷つけ、立ち直りを妨げてしまう可能性があります。
- 「たいしたことないよ!」「気にしないの!」と軽く流す: 子どもの悔しい気持ちを否定することになり、「分かってくれない」と心を閉ざしてしまいます。
- 「ほら、すぐにやり直しなさい!」と無理強いする: 気持ちの整理ができていないのに再挑戦させても、また失敗して自信を失う可能性が高いです。
- 「でも、頑張ってたじゃない!」と安易に慰める: 失敗の事実や悔しい気持ちに向き合わないままでは、本当の意味での乗り越えにはなりません。
- 「だから言ったでしょ!」「注意が足りないからよ!」と説教する: 失敗したこと自体で十分落ち込んでいるのに、さらに追い打ちをかけることになります。
- 「〇〇ちゃんは失敗してもすぐ立ち直ってたよ」と他人と比較する: 子どものプライドを傷つけ、劣等感を植え付けます。
大切なのは、結果だけを見て判断せず、子どもの心に丁寧に寄り添うこと。焦らず、じっくり向き合う姿勢が求められます。
折れた心を”しなやかな強さ”に変える!魔法の声かけ&関わり方【5つのステップ】
では、具体的にどうすれば、子どもの折れた心を回復させ、再挑戦への意欲を引き出すことができるのでしょうか? 心の応急手当から、次への一歩を促すまでの5つのステップをご紹介します。
ステップ1:まずは気持ちに寄り添う「悔しかったね」【共感ファースト】
何よりも先に、子どものネガティブな感情を、そのまま受け止め、共感を示しましょう。
- 声かけ例:
- 「そっか、うまくいかなくて、すごく悔しかったんだね」
- 「あんなに練習したのに、悲しい気持ちになっちゃったね」
- 「がっかりしちゃったね。うんうん、わかるよ」
- 関わり方:
- 静かに隣に座る、優しく背中をさする、抱きしめるなど、言葉以外のぬくもりも伝える。
- 無理に聞き出そうとせず、子どもが話したくなるまで待つ姿勢も大切。
まずは安心できる場所で、自分の気持ちを受け止めてもらえた、と感じることが、心の回復の土台となります。
ステップ2:頑張りを具体的に認める【プロセス承認】
気持ちが少し落ち着いてきたら、結果ではなく、そこまでのプロセスや努力を具体的に認めましょう。
- 声かけ例:
- 「結果は残念だったけど、〇〇の部分、すごく工夫して頑張ってたよね!」
- 「最後まで諦めないで挑戦したこと、ママ(パパ)は本当にすごいと思ったよ」
- 「難しいことにチャレンジしようと思った、その勇気が素晴らしいよ!」
- ポイント:
- 具体的に、どの部分を、どのように頑張っていたかを伝える。
- 失敗した=全部ダメ、ではないことを伝える。
「頑張りは無駄じゃなかったんだ」と感じることが、自己肯定感を支えます。
ステップ3:失敗を「学び」にリフレーミング【成長マインドセット】
ここが「成長マインドセット」を育む重要なステップ! 失敗を「終わり」ではなく「次へのヒント」と捉え直すお手伝いをします。
- 声かけ例:
- (少し落ち着いてから)「失敗しちゃったけど、この経験から何か学べるかな?」
- 「どうしてうまくいかなかったか、もし良かったら一緒に考えてみない?」
- 「有名な発明家のエジソンもね、電球を作るまでに何千回も失敗したんだって!失敗は成功へのステップなんだね」
- 「次はこうしてみたら、もっと良くなるかもね!」
- ポイント:
- 責めるのではなく、客観的に原因を探る姿勢で。
- 失敗=改善点が見つかった、というポジティブな視点を提示する。
- キャロル・ドゥエック氏の言うように、「才能は固定されている」のではなく「努力で伸ばせる」という考え方を伝える。(出典:『マインドセット「やればできる! 」の研究』など)
失敗を恐れない心を育てます。
ステップ4:「次」への具体的なヒントを一緒に探す【前向きな作戦会議】
リフレーミングができたら、次はどうするか?を一緒に考えます。
- 関わり方の例:
- 「もし、もう一回やるとしたら、どんな方法があるかな?」
- 「もう少し簡単なことから、もう一度やってみるのはどう?」
- 「〇〇の道具を使ってみたら、うまくいくかもしれないね」
- 「誰かにアドバイスを聞いてみるのもいいかもね」
- ポイント:
- 親が答えを出すのではなく、子ども自身が考え、選択できるようにサポートする。
- 前向きで、具体的な行動につながるような選択肢を一緒に探す。
「どうせダメだ」から「こうすればできるかも?」へと、思考を転換させます。
ステップ5:再挑戦は”焦らず”、本人の意思を尊重する【タイミング重視】
最も大切なのは、再挑戦を無理強いしないこと。
- 声かけ例:
- 「今は『もうやらない!』って気持ちなんだね。わかったよ。でも、もしまたやりたくなったら、いつでも応援するからね」
- 「少し気持ちが落ち着くまで、ゆっくり休もうか」
- 「気が向いたらでいいから、また声をかけてね」
- ポイント:
- 子どもの気持ちとタイミングを最優先する。
- 「いつでもサポートするよ」という姿勢を伝え続ける。
- 休息も回復には必要。
焦らず待つことで、子どもは自ら立ち直り、自分の意思で再び歩き出すことができます。
失敗体験こそ、最高の「心のワクチン」!
失敗して、落ち込んで、でも周りのサポートを得ながら立ち直る…この経験は、いわば「心のワクチン」のようなもの。小さな失敗体験を通して、悔しさや悲しさへの「免疫」をつけ、どうすれば回復できるかを学ぶことで、将来もっと大きな困難に直面した時に、ポキッと折れずに、しなやかに乗り越えていける力(レジリエンス)が育まれるのです。
親としては、子どもに辛い思いはさせたくないけれど、安全な場所で経験する小さな失敗と、そこからの回復プロセスは、子どもの人生にとって、かけがえのない財産になります。
我が家の「もうやらん!」宣言と、復活の瞬間
長女が小学生の時、自由研究で張り切って実験キットに取り組んだのですが、説明書通りにやったつもりが、なぜか大失敗…。「こんなの、もう絶対やらん!!」と、キットを放り投げて大泣きしたことがありました。
その時は、まず「そっか、楽しみにしてたのにね、悔しいね」と、涙が枯れるまで(?)隣で話を聞きました(ステップ1)。落ち着いてから、「でも、説明書を一生懸命読んで、順番通りにやろうとしてたの、ママ見てたよ。すごく頑張ってたね」(ステップ2)と伝えました。
翌日、「なんで失敗したのかな?」と一緒に説明書を見返すと、小さな手順を一つ飛ばしていたことが判明。「あ!これか!」「じゃあ、もしここをちゃんとやったら、うまくいくのかな?」(ステップ3&4)と、少しだけ前向きな言葉が出てきました。
「もう一回やる?」とはすぐには言わず、「また気が向いたらね」と伝えておきました(ステップ5)。数日後、彼女は自ら「…ママ、やっぱりもう一回やってみたい」と言ってきたのです!結果、今度は大成功!あの時の達成感に満ちた笑顔は、失敗があったからこそ、より一層輝いて見えました。
まとめ:失敗から立ち直る力は、一生モノの宝物!
子どもの「もうやらない!」宣言は、親の心をざわつかせますが、それは「立ち直る力(レジリエンス)」と「成長マインドセット」を育む、またとない機会です。
焦らず、慌てず、
- 気持ちに寄り添い
- 頑張りを認め
- 失敗を学びに変え
- 次へのヒントを探し
- 本人の意思を尊重する
この5つのステップを意識して、お子さんの心の回復をサポートしてあげてください。
失敗しても大丈夫。そこから学び、また前を向ける。そんなしなやかな強さこそ、変化の激しいこれからの時代を生きていく上で、何より大切な力になるはずです。
「うちの子が失敗で落ち込んだ時、こんな言葉が効きました!」「こんな風に立ち直りました!」など、あなたの体験談や励ましのエピソードも、ぜひコメントでシェアしてくださいね!
この記事が、失敗を乗り越えようと頑張るお子さんと、それを支えるあなたの温かい応援のヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。参考になったら、いいね!やシェアをお願いします♪
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