【気づき編】「私だけがおかしいの?」育児中にママが陥る心の不調、その種類とサイン

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はじめに:その涙、そのイライラ、あなたのせいじゃありません

赤ちゃんは、泣くのが仕事。わかっているはずなのに、鳴り止まない泣き声に、どうしようもなくイライラしてしまう。
可愛い我が子を目の前にして、なぜか涙が止まらなくなる。
SNSで見るキラキラしたママ友と比べて、自分はなんてダメな母親なんだろうと落ち込んでしまう…。

もし、あなたが今、そんな風に自分を責めているのなら、伝えたいことがあります。

その感情は、決してあなたのせいではありません。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

私自身、長女を出産した後、理由もなく涙が溢れてきたり、社会から取り残されたような孤独感に苛まれたりした経験があります。「母親になったんだから、しっかりしなきゃ」と思えば思うほど、心が苦しくなっていきました。

育児中のママの心は、ホルモンバランスの急激な変化と、24時間体制の育児という過酷な状況によって、知らず知らずのうちに悲鳴を上げています。それは、あなたが弱いからでも、母親失格だからでもないのです。

この記事では、「気づき編」として、多くのママが経験する可能性のある心の不調の種類と、その具体的なサインについてお話しします。まずは「これって、私だけじゃなかったんだ」と知ることから。それが、回復への大切な第一歩になります。


あなたはどれに当てはまる?ママが陥りやすい心の不調の種類

「産後うつ」という言葉はよく知られていますが、実はママが経験する心の不調はそれだけではありません。まずは、それぞれの違いを正しく理解しましょう。

① マタニティブルーズ:産後すぐの「ホルモンの嵐」

  • 時期: 産後数日〜2週間程度
  • 特徴: 「涙もろくなる」「気分が落ち込む」「不安になる」といった症状が、ジェットコースターのように現れては消えます。
  • 原因: 出産による急激なホルモンバランスの変化が主な原因です。ほとんどのママが経験する、いわば生理的な現象。
  • ポイント: 通常は特別な治療をしなくても、自然と落ち着いていきます。大切なのは「今だけ、ホルモンのせい!」と割り切り、周りに甘えて体を休めることです。

② 産後うつ:長引く気分の落ち込みは「病気」のサイン

  • 時期: 産後1ヶ月頃から発症することが多いが、1年以内ならいつでも起こりうる
  • 特徴: マタニティブルーズと違い、気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続きます。「赤ちゃんを可愛いと思えない」「食欲がない、または過食」「眠れない」「死にたいと考えてしまう」などの症状があれば要注意。
  • 原因: ホルモンバランスに加え、育児のストレス、孤独感、睡眠不足などが複雑に絡み合って発症します。
  • ポイント: これは**治療が必要な「病気」**です。「気合が足りない」などと精神論で片付けず、必ず専門機関に相談してください。

③ 育児ノイローゼ:「〜べき」に縛られていませんか?

  • 時期: 産後だけでなく、育児期間中いつでも起こりうる
  • 特徴: 「ちゃんとした母親であるべき」「離乳食は手作りするべき」といった、強い完璧主義や責任感から、心身ともに追い詰められてしまう状態。不安やイライラが強く、子どもに当たってしまうことも。
  • 原因: 周囲に頼れる人がいない、真面目で責任感の強い性格などが背景にあります。
  • ポイント: 「〜べき」という考え方を、一度手放してみましょう。「まあ、いっか」を合言葉に、意識的に手を抜くことが大切です。

④ バーンアウト(燃え尽き症候群):頑張りすぎた結果…

  • 時期: 育児に少し慣れてきた頃にも起こりやすい
  • 特徴: ある日突然、糸が切れたように無気力になるのが特徴。「何もしたくない」「子どもと関わるのが億劫」と感じ、心身ともにエネルギーが枯渇してしまいます。
  • 原因: 長期間、自分のことを後回しにして、育児に全力投球してきた結果、心身が燃え尽きてしまうのです。
  • ポイント: エネルギーを再充電する時間が必要です。意識的に「何もしない時間」を作ることが、何よりの薬になります。

もしかして…?心のSOSに気づくためのセルフチェック

以下の項目に、最近のあなたがどれくらい当てはまるか、チェックしてみてください。

  • □ 理由もないのに涙が出ることがある
  • □ ささいなことでイライラして、子どもや夫に当たってしまう
  • □ 以前は楽しめていたことに、興味がわかなくなった
  • □ 何をするのも億劫で、気力がない
  • □ 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • □ 夜、なかなか寝付けない、または途中で何度も目が覚める
  • □ 自分はダメな母親だと、いつも自分を責めている
  • □ 赤ちゃんのお世話が、楽しいと思えない
  • □ 社会から孤立しているような、強い孤独を感じる
  • □ 消えてしまいたい、と思うことがある

もし、複数(特に5個以上)の項目が、2週間以上続いているなら、それはあなたの心が助けを求めているサインかもしれません。


まとめ:「気づくこと」が、あなたと家族を守る第一歩

育児中の心の不調は、目に見えないだけに、本人ですら気づきにくいものです。そして、「母親なんだから、これくらい当たり前」と、無理をしてしまいがちです。

でも、ママの笑顔は、家族にとっての太陽です。あなたが無理を続ければ、その曇り空は、やがて家族みんなを覆ってしまいます。

まずは、「私、ちょっと疲れてるかも」と自分の状態に気づいてあげること。そして、「これは自分のせいじゃないんだ」と認めてあげること。それが、あなた自身と、あなたの大切な家族を守るための、最も重要で、最も勇気ある一歩です。

次回の「実践編」では、気づいた不調を少しでも和らげるために、今日からお家で簡単にできるセルフケアの方法をたくさんご紹介します。ぜひ、そちらも読んで、ご自身をいたわってあげてくださいね。

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