【基本編】思春期の反抗期、まずは親の心構えから。ママナースが教える冷静な向き合い方

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はじめに:「うちの子、何だか最近おかしい…」そう感じていませんか?

「おはよう」と声をかけても返事がない。部屋にこもりがちで、話しかけても「別に」「ウザい」の一言。

ついこの間まで、あんなに素直で可愛かった我が子が、まるで別人のように…。そんなお子さんの変化に、戸惑い、寂しさ、そして言いようのない不安を感じていませんか?

わかります。何を隠そう、我が家の長女が思春期に突入した時、私も同じように悩みました。「私が何か間違った育て方をしたんだろうか…」と、自分を責めてしまった夜もあります。

でも、大丈夫。それはあなたの子育てが間違っていたわけではありません。お子さんは今、「思春期」という、大人になるための大切なトンネルの真っただ中にいるだけなのです。

こんにちは!3姉妹の母で、現役看護師の皐月です。

病院でたくさんの子どもたちと接する中で、そして自身の経験から、この時期の子どもたちには心と体で大きな変化が起きていることを実感しています。

この記事では、親としてまず何を知り、どう心を構えておくべきか、その「基本のキ」をママナースの視点からお伝えします。この記事を読み終える頃には、きっと少しだけ肩の力が抜けて、「よし、もう少し見守ってみよう」と思えるはずですよ。


思春期の反抗期は「病気」じゃない!まずは正しく理解しよう

反抗的な態度は、親からすると本当に頭が痛い問題ですよね。でも、これは決して「病気」や「異常行動」ではないんです。子どもが自立した一人の人間になろうと、必死にもがいている証拠。まずは、そのメカニズムを冷静に知ることから始めましょう。

なぜ反抗するの?子どもの中で起きている心と体の変化

思春期の子どものイライラや不安定さの背景には、ホルモンバランスの急激な変化と、脳の発達という、科学的な根拠があります。

  • 心と体のアンバランス: 第二次性徴によって、体はどんどん大人に近づいていきます。でも、心の発達はまだ追いついていません。このアンバランスさが、本人ですらコントロールできない感情の波を引き起こすのです。
  • 脳の前頭前野が工事中: 感情のコントロールや、理性的な判断を司る「前頭前野」という脳の司令塔は、実は10代後半から20代前半にかけて、ゆっくりと完成していきます。つまり、思春期の子どもは、感情のブレーキが未完成な状態で、アクセルを踏み込んでいるようなもの。だから、些細なことでカッとなったり、衝動的な行動をとってしまったりするのです。

「第二次反抗期」は成長の証

「イヤイヤ期」とも呼ばれる第一次反抗期は、「自分」という存在に気づき始める2〜3歳頃に起こります。

そして、思春期に訪れるのが**「第二次反抗期」**。これは、親から精神的に自立し、「自分自身の価値観」を確立しようとするために起こる、ごく自然な発達段階です。親の言うことを鵜呑みにするのではなく、「本当にそうなの?」と疑い、自分の頭で考え始める。これって、すごい成長だと思いませんか?

ママナースが見た、思春期の子どもたちのリアル

私が病院で出会う思春期の子どもたちも、みんな同じです。親の前ではツンケンしていても、ふとした瞬間に、ものすごく不安そうな顔を見せることがあります。本当は、自分でもどうしていいか分からなくて、苦しんでいるんですよね。

「親に心配かけたくない」「でも、このモヤモヤを誰かに聞いてほしい」

そんな相反する気持ちの中で、彼らは揺れ動いています。そのことを知っているだけでも、親の気持ちは少し楽になるはずです。


反抗期の子どもと向き合う前に。親が持つべき3つの心構え

子どもの変化を理解したら、次は親自身の心構えです。ここが一番大切かもしれません。親がドンと構えているだけで、子どもの荒波は少しずつ穏やかになっていきます。

心構え1:子どもの「イライラ」を真正面から受け止めない

子どもがぶつけてくるトゲトゲした言葉や態度。これを真正面から受け止めてしまうと、親も感情的になり、売り言葉に買い言葉の悪循環に陥ってしまいます。

大切なのは、**「ああ、今ホルモンが荒ぶってるのね」「脳が工事中で、感情のコントロールが難しいのね」**と、一歩引いてみること。子どものイライラは、必ずしもあなたへの人格攻撃ではありません。いわば、コントロール不能な感情の“八つ当たり”のようなもの。親は「感情のゴミ箱」になる必要はないのです。

心構え2:「親も一人の人間」と割り切る。完璧な親なんていない

「親なんだから、常に冷静でいなければ」「子どものすべてを受け止めなければ」…そんな風に、自分を追い詰めていませんか?

もう、やめましょう!親だって、一人の人間です。腹も立つし、悲しくもなります。完璧な親なんて、どこにもいません。

「今、ママはあなたの言葉に傷ついたな」「ちょっと頭を冷やしたいから、少し一人にさせて」と、自分の感情を素直に伝えてもいいんです(これを「I(アイ)メッセージ」と言います。次回の記事で詳しく解説しますね!)。親が自分の気持ちを大切にすることは、子どもが他者の気持ちを想像する訓練にも繋がります。

心構え3:距離感を大切に。干渉しすぎず、放任しすぎず

子どもが自分の世界を作り始める思春期には、物理的にも精神的にも、適切な距離感が必要になります。

  • 干渉しすぎない: 子どもの部屋に無断で入ったり、スマホを勝手に見たりするのはNG。プライバシーを尊重し、一人の人間として扱う姿勢を見せましょう。
  • 放任しすぎない: かといって、完全に無関心になるのは「放任」です。食事の準備をしたり、声をかけたり、いつでも話を聞く準備があるというサインを送り続けることが大切。「あなたのことを、いつも気にかけているよ」というメッセージを伝え続けましょう。

まとめ:嵐は必ず過ぎ去る。親の冷静さが子どもの灯台になる

思春期の反抗期という嵐は、いつか必ず過ぎ去ります。そして、嵐が過ぎ去った後には、たくましく成長した我が子の姿があるはずです。

今、親にできる最も大切なことは、感情の荒波に一緒に飲み込まれるのではなく、冷静な灯台のように、いつでも戻ってこられる場所であり続けることです。

とはいえ、頭では分かっていても、具体的にどう声をかけたらいいの?と悩みますよね。

次回の記事では、いよいよ実践編!反抗期の子どもに響く「効果的なコミュニケーション術」について、具体的な会話例を交えながら詳しく解説していきます。

ぜひ、そちらも楽しみにしていてくださいね!

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