「ガーガー」そのいびき、ただの寝息じゃないかも。呼吸が止まっていたら…
子どもが、大人顔負けの大きないびきをかいて眠っている。「疲れているのかな?」「風邪気味で鼻が詰まっているのかな?」そんな風に、微笑ましく、あるいは、少し心配に思いながら、見守っている親御さんも多いかもしれません。
こんにちは、ママナースのさとみです。しかし、子どもの大きないびき、特に、いびきが途中で止まり、その後、あえぐように呼吸を再開するような場合は、注意が必要です。それは、**「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」**という、治療が必要な病気のサインかもしれません。
この記事では、子どもの危険ないびきの見分け方と、睡眠時無呼吸症候群が引き起こすリスク、そして家庭でできる対策と、専門医への相談の目安について、詳しく解説します。
なぜ、子どもが睡眠時無呼吸症候群に?
子どもの睡眠時無呼吸症候群の最も多い原因は、アデノイドや扁桃(へんとう)の肥大です。アデノイドや扁桃は、鼻や喉の奥にあるリンパ組織で、幼児期に最も大きくなります。これらが、空気の通り道である気道を物理的に狭くしてしまうことで、いびきや無呼吸が起こるのです。その他、アレルギー性鼻炎による鼻づまりや、肥満なども原因となります。
これって大丈夫?危険ないびきのチェックリスト
以下のような症状が見られたら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。動画で録画しておくと、受診の際に役立ちます。
- いびきが、毎晩のように続く
- いびきの途中で、呼吸が10秒以上止まることがある
- 呼吸が止まった後、大きな音を立てて、あえぐように呼吸を再開する
- 口を開けて、苦しそうに呼吸している(口呼吸)
- 寝汗がひどい、寝相がとても悪い
- 日中、いつも眠そうにしている、元気がなく、集中力がない
- 朝、スッキリ起きられず、機嫌が悪い
睡眠時無呼吸が、子どもに与える影響
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、質の良い睡眠が妨げられるため、心と体の成長に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
- 成長の遅れ: 深い睡眠中に分泌される「成長ホルモン」が不足し、体の成長が妨げられることがあります。
- 学力・集中力の低下: 日中の強い眠気や、慢性的な酸素不足が、学習意欲や集中力の低下を招きます。
- 行動の問題: イライラしやすくなったり、落ち着きがなくなったりと、ADHD(注意欠如・多動症)に似た症状が現れることもあります。
- 顔つきの変化: 長期間の口呼吸により、「アデノイド様顔貌」と呼ばれる、独特の顔つき(面長、口が常に開いているなど)になることがあります。
家庭でできることと、受診の目安
気になる症状があれば、まずは耳鼻咽喉科に相談しましょう。睡眠中の状態を調べる検査を行い、必要であれば、アデノイド・扁桃の切除手術などの治療を検討します。
家庭では、アレルギー性鼻炎の治療や、部屋の掃除・加湿など、鼻づまりを悪化させない環境を整えることが大切です。また、肥満傾向のあるお子さんの場合は、食生活の見直しや、適度な運動も重要になります。
まとめ:子どもの「いびき」は、体からのSOS
子どもの「いびき」は、単なる寝息ではなく、「うまく呼吸ができていないよ」という、体からのSOSサインかもしれません。
「そのうち治るだろう」と、安易に考えないでください。質の良い睡眠は、子どもの健やかな心と体を育むための、大切な土台です。気になるサインがあれば、ぜひ一度、専門医に相談してみてください。