「100点取ったの!? すごーい!やっぱり頭いいのね!」
「かけっこで一番? さすが、運動神経がいいんだね!」
お子さんが素晴らしい結果を出した時、私たちは心からの喜びと称賛を伝えますよね。それは、とっても素敵なことです!
でも、もし、そんな「結果」や「才能」ばかりを褒める言葉が、長い目で見ると、子どもの挑戦する意欲や、困難に立ち向かう心を、かえって弱めてしまう可能性があるとしたら…?
こんにちは!湘南で子育て中の、3姉妹の母で現役看護師、「こそだて部」の皐月です。
私も昔は、つい分かりやすい「結果」や「才能」を褒めてしまいがちでした。「すごいね!」「上手!」は、言いやすい褒め言葉ですもんね。でも、スタンフォード大学の心理学者、キャロル・ドゥエック教授の「マインドセット」という考え方を知って、私の「褒め方」に対する意識はガラリと変わったんです。
今回の「#ワンポイント育児」では、
- なぜ「結果」や「才能」ばかり褒めるのは、要注意なのか?
- 「頑張ったね!」に代表される”プロセス褒め”が持つ驚きの効果
- 日常で使える!具体的な「プロセス褒め」の声かけ例
について、「成長マインドセット(Growth Mindset)」の考え方を軸に、看護師としての視点や、我が家の体験談も交えながら、詳しくお伝えします。
この記事を読めば、お子さんの”折れない心(レジリエンス)”と”やる気”を効果的に育む、褒め方のヒントが見つかるはずです!
なぜ「結果」ばかり褒めるのは、要注意なの?【固定マインドセットの罠】
ドゥエック教授は、人の考え方を大きく二つに分けています。
- 固定マインドセット(Fixed Mindset): 「知能や才能は、生まれつき決まっていて変わらない」と考える。
- 成長マインドセット(Growth Mindset): 「知能や才能は、努力や経験によって伸ばすことができる」と考える。
そして、「頭いいね!」「才能があるね!」といった”才能”や”結果”ばかりを褒める言葉は、子どもに「固定マインドセット」を植え付けやすい、と指摘しています。なぜなら…
- 「才能がないとダメなんだ」と思い込みやすい: 褒められるのは「才能がある時」だけだと感じると、「才能がないかもしれないこと」への挑戦を避けるようになります。
- ”失敗”を過度に恐れるようになる: 「すごいね!」と言われ続けると、「すごい自分でいなければならない」というプレッシャーを感じ、失敗して「すごくない自分」を見せることを極端に恐れるようになります。
- ”努力”や”工夫”をしなくなる可能性: 成功は「才能」のおかげだと考えると、難しい壁にぶつかった時に、「才能がないから無理だ」と、努力したり、やり方を変えたりすることを諦めやすくなります。
- (極端な場合)結果のために不正をするリスクも: 「賢い」「できる」という評価を守りたい一心で、カンニングなどの不正直な行動に繋がる可能性も、研究では示唆されています。(出典:キャロル・S・ドゥエック著『マインドセット:「やればできる!」の研究』など)
もちろん、結果を喜ぶのは自然なこと。でも、褒めるポイントが「結果」や「才能」に偏りすぎると、挑戦を避け、失敗を恐れ、努力を軽んじる心を育ててしまう危険性があるのです。
「頑張ったね!」”プロセス褒め”の驚くべき効果【成長マインドセットを育む】
一方で、「頑張ったね!」「粘り強く取り組んだね!」「工夫したね!」といった”プロセス(過程)”を褒める言葉は、子どもの中に「成長マインドセット」を育みます。
- 「努力すれば成長できる!」と信じられる: プロセスを認められることで、子どもは「自分の頑張りや工夫が、結果に繋がるんだ」「能力は伸ばせるんだ」と実感できます。
- ”挑戦”を楽しむ心が育つ: 才能の有無ではなく、努力や挑戦そのものが価値あることだと理解すると、難しい課題にも「やってみよう!」と前向きに取り組めるようになります。課題は「自分の能力を証明するテスト」ではなく、「成長のチャンス」に変わるのです。
- ”失敗”から学び、立ち直る力がつく【レジリエンスUP】: たとえ結果が出なくても、そこまでの頑張りや粘り強さを認めてもらえれば、子どもは「ダメじゃなかったんだ」と感じられます。失敗を「学びの機会」と捉え、「次はどうすればいいかな?」と前を向いて立ち直る力(レジリエンス)が育まれます。(→「(失敗して)もうやらない!」の記事も参考に![※内部リンク想定])
- ”学ぶこと自体”が楽しくなる【内発的動機づけ】: 親からの評価(結果に対する褒め言葉)のためではなく、「できるようになりたい」「もっと知りたい」という自分自身の内側から湧き出る意欲(内発的動機づけ)で、物事に取り組めるようになります。
皐月’s Point: 看護師としても、患者さんがリハビリなどを続ける上で、「今日は昨日より少し長く歩けましたね!」(具体的な進歩)、「辛い中でも、諦めずに頑張っていらっしゃいますね」(努力)といったプロセスへの声かけがいかに大切かを実感します。これは、人が困難を乗り越え、目標に向かって努力し続けるための、心のエネルギー源になるんですね。
実践!”プロセス褒め”の具体的な言葉かけ【シーン別】
では、具体的にどんな言葉でプロセスを褒めればいいのでしょうか? 「頑張ったね!」も素敵な言葉ですが、より具体的に伝えるのがポイントです!
シーン1:勉強・宿題を頑張った時
- NG例: 「100点すごい!頭いいね!」
- プロセス褒め例:
- 「難しい問題なのに、最後まで諦めずに、色々な方法で考えていたね!」
- 「この解き方、自分で工夫して見つけたの?すごい集中力だったね!」
- 「漢字練習、前は苦手だったけど、毎日コツコツ続けたから、こんなに書けるようになったんだね!」
- 「間違えちゃったけど、どこで間違えたか自分で気づいて、やり直そうとしたのが素晴らしいよ!」
シーン2:スポーツや遊びで頑張った時
- NG例: 「一番すごい!」「やっぱり才能あるね!」
- プロセス褒め例:
- 「試合には負けちゃったけど、最後まで諦めずに、一生懸命ボールを追いかけていた姿、本当にかっこよかったよ!」
- 「逆上がり、何度も何度も悔し涙を流しながら練習して、ついにできるようになったね!あの粘り強さがすごい!」
- 「みんなのために、大きな声を出してチームを励ましていたね!」
- 「このコース、どうやったらうまく走れるか、すごく考えて練習してたもんね!」
シーン3:お手伝いや制作活動をした時
- NG例: 「上手!天才!」
- プロセス褒め例:
- 「この絵、色々な色を丁寧に、時間をかけて塗ったのが伝わってくるよ」
- 「お手伝い、面倒な作業も、最後まで責任持ってやってくれて、本当に助かったよ、ありがとう!」(→「具体的ありがとう」の記事も参考に![※内部リンク想定])
- 「この積み木のお城、どうやったら倒れないか、バランスを考えながら、すごく集中して積んでたね!」
【ポイント】
その子が「何に時間をかけたか」「どんな工夫をしたか」「どんな困難を乗り越えようとしたか」「どんな気持ちで取り組んでいたか」…結果だけでなく、その過程(プロセス)に注目し、それを具体的な言葉にして伝えてあげましょう。
皐月のリアル体験談:「結果」より「頑張り」を褒めたら…
長女が小学校低学年の頃、算数のテストで思うような点が取れず、ひどく落ち込んでいたことがありました。「私、算数苦手だから…もうダメだ…」と。
以前の私なら、「大丈夫だよ!次は頑張ればいいじゃない!」と励ましたり、「どこが分からなかったの?」とすぐに原因究明に入ったりしていたかもしれません。
でも、その時は意識して、まず点数のことには触れずに、こう言いました。
「そっか、悔しいね。でも、ママは知ってるよ。あの難しい問題、分からなくてもすぐに諦めないで、教科書を開いたり、前のノートを見返したりして、すっごく粘り強く考えてたよね。あの頑張りは、本当にすごかったと思うよ」と。
すると、長女はハッとした顔をして、涙が止まりました。そして、「…うん、あそこ、すっごく頑張ったんだ」と、少しだけ誇らしそうな顔をしたんです。
点数という「結果」ではなく、彼女の「努力のプロセス」を具体的に認めたことで、彼女は「自分はダメじゃなかったんだ」「頑張りは無駄じゃなかったんだ」と感じてくれたようでした。その後の算数への取り組み方も、少し前向きになったように思います。
まとめ:「頑張ったね!」が未来を切り拓く力を育む
子どもの成長を願うからこそ、私たちは結果を求め、才能を褒めたたえたくなります。でも、本当に子どもの「折れない心(レジリエンス)」や「困難に立ち向かう力(グリット)」、そして「学び続ける意欲」を育みたいのなら、注目すべきは「結果」よりも「プロセス」なのかもしれません。
「頑張ったね!」
「工夫したね!」
「諦めなかったね!」
「粘り強く考えたね!」
これらの”プロセス”を具体的に認め、称賛する言葉は、子どもに「自分は努力で成長できる」という「成長マインドセット」を育み、失敗を恐れず挑戦し続けるための、何よりのエネルギーとなります。
今日から、お子さんを褒める時、少しだけ意識を変えてみませんか?
結果だけでなく、その裏にある努力や工夫、粘り強さに、温かい言葉の光を当ててあげてください。その積み重ねが、お子さんの未来を切り拓く、確かな力になるはずです。
あなたは、どんな「プロセス褒め」をしていますか? お子さんの反応はどうでしたか? ぜひコメントで、あなたの体験談や工夫を教えてください!
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次回の「#ワンポイント育児」もお楽しみに!
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