コーチングの定義と3つの要素
コーチングとは
コーチングとは、1人ひとりの個性を認め、人間の持つ能力や可能性を信じるという人間観に基づき、コミュニケーション技術と仕組みとによって、相手の自発的な行動を促し、さらには相手の成長と自己実現を支援する事。
3つの要素
人間観
コミュニケーション技術
仕組み
人間観
・1人ひとりの個性を認め、人間の持つ能力や可能性を信じる
コミュニケーション技術
・自発的な行動を促す
仕組み
・成長と自己実現を支援する
コーチングで出来る事
「相手の自発的な行動を促し、相手の成長と自己実現を支援する事ができる」
コーチングの基本的な進め方
6つのポイント
何の為にコーチングをするのか、明確にする。そしてゴールを共有する。
現在の状況を分析し、何ができるのか、可能性を選択肢として考える。
その中から、どの様な選択肢を選ぶのかを決める。
そして、その選択肢で行動するに置いて、具体的な行動計画を立てていく。
セルフコーチングの実践
まず、セルフコーチングを実践する。
1.ビジョンを明確にする
将来、自分自身がなりたい姿、なりたい状態を明確にする。
コーチングを習得・実践する事でどの様なビジョンを描いているのか。
ルーキーへコーチングをすると言う事は、自分自身がコーチングを習得し、実践し、自分自身も成長し続ける事が求められる。
自分自身がなりたい姿、ビジョンを明確にする。
2.コーチングを習得する意図を明確にする
何のために習得するのか、その本気度を改めて自分自身で考える。
意図が明確であればあるほど、実現する方法は無限になる。
改めて、なぜ習得するのかを考える。
3.顕在意識と潜在意識に気付く
顕在意識とは、自分で気づいている意識、自覚できる意識の事。
潜在意識とは、自分では気づかない意識、自覚できない意識の事。
ビジョンに向かい行動しようとする時、
顕在意識→ビジョンに向かい、実現するぞ!
潜在意識→出来なかったらどうしよう…。できないかもしれない…失敗したくない…。
と言うように、顕在意識を潜在意識が阻害する。
実現を妨げる。人は、潜在意識の阻害が顕在意識を上回ると、諦め、逃げて、目を背ける。
潜在意識を克服する事は簡単ではなく、無視できない。
この様な仕組みが脳科学的に証明されており、この様な思考が人間の正しい思考だという事を気付く事・知る事が最も重要。
潜在意識という人間としての弱さに気付き、目を背けずに向き合う事。
そして克服してビジョンを達成していく事。
これが成功体験であり、目標の達成。
この繰り返しが、コーチングという事を知る。
コーチングに必要な人間観
1人ひとりの個性を認める
つまり、1人ひとりの違いを認めるという事。
人間にはこれまで育った家庭、環境、人生の歴史で固定観念が作り上げられる。
自分の中の常識やあたりまえと、他人を自然と比べている。
自分との違い、思考の違いは全て「個性である」と理解し、それを認める事が必要。
同じ職場で、同じチームだから何となく「同じ」と思い勝ちだが、間違いなくそれぞれの個であり、違いがある。
その違いは、個性である事を意識し、明確に、はっきりと気づく事が必要。
人間の能力と可能性を信じ続ける
まず、自分自身の能力や可能性を信じる事。
自分を信じる事が、第一歩。
承認のコップ
自分を信じるとは、自信を持つという事。自信を持つためには「自己承認」が必要。
承認のコップ、という有名な話がある。
承認のコップを100%に満たすために、自己承認だけで100%満たす事は難しい。自己承認で満たせないコップは何で満たすのか。それは、他人からの承認で満たす必要がある。自己承認と他者承認で承認のコップを100%に満たす必要がある。もちろん、他者承認だけで100%満たす事も難しい。
自分を承認する事から始める
自分自身を承認できない自分が、人間の能力と可能性を信じ続ける事が出来るだろうか。
まず、自分を承認する事に意識を向ける。
意識の発想は「毎日、楽しみながら頑張ってるな」とか「少しづつ目標に向かってるな」とか。
承認できる自分が見えてきた時、周りを承認出来る様になり、人間の能力と可能性を信じ続ける事に繋がっていく。
信じ続ける事の秘訣は「期待」ではなく「信じる」事
期待は信じる事とは別である事を知る事。
期待とは「自分が他人に描く身勝手な要求」であり、期待をする側のエゴである。
期待を裏切られた時、失望する。
しかしそもそも、期待とは期待した側のエゴだ。
それよりも、相手を信じるべきだ。信じるという事は「何があっても相手を信じる」という事。
信頼に応えない相手がいたとしても、相手の能力と可能性を信じる。
必ずできると信じ続ける事が大切になる。その信頼が、相手との信頼関係に繋がる。
相手が必要とする答えはその人の中にある
まず、そう信じる事
相手が必要とする答えはその人の中にある、という人間観はつまり
「自分の能力と可能性を信じて関わり続ける」
という人間観を具体的にしたもの。
まずは、相手が必要とする答えはその人の中にあるんだと信じて関わり続ける事が大切。
つまり
「相手にすぐ答えを与えず、考える機会を与える」
「相手の答えを引き出すサポートをする」
という事。
相手に考える機会を与える
頭ごなしに否定をしたり、即時アドバイスを与えたり。
それは「相手を信じていない」という事。
まず、信じる。そうなれば、相手が考える機会を自然と与える事になる。
コーチに必要な姿勢と態度
相手を大きな存在として大切にかかわり続ける
顕在意識と潜在意識があるが、日常生活で自覚している顕在意識は潜在意識に対して10%程度だと言われている。
人間の顕在化されている部分はほんの一部で、人の可能性とは計り知れない大きさであるという事を理解する。
1をしって10を知った気になってはいけない。見えている事だけではなく、見えていない事も含め大きな存在としてかかわり続ける事が必要。
人間は不完全である事を認め、自覚する。そしてお互いがお互いの潜在意識も含めた可能性を信じる事が大切。
コミュニケーション技術
お互いがコーチングに同意し自己成長と自己実現を目指す
同意する主な内容
・コーチングとはどういうものなのか(定義や3つの要素等)
・コーチングの進め方(仕組みやかかわり方)
・お互いの役割(自発的な行動を促しながら支援するという事)
・コーチングの目的(成長と自己実現)
・守秘義務
聴くスキル
プロのコミュニケーターであれば、お客さま応対の対面版だと思えばよい。
「アイコンタクト、うなづき、相槌、オウム返し、メモを取る、ペーシング…等」
ペーシングのコツは
視線を軽く合わせる
相手と同じ視線の高さに、自分の視線の高さを合わせる
同じ話題について話をする
相手と同じ速さ、声のトーン、声の大きさで話す
相手と呼吸を合わせる
表情が豊かな相手には、表情を豊かに接する
相手が身を乗り出したら、こちらも身を乗り出す…等
コチラが相手をコントロールするのではなく、安心して話ができ、互いの関係性を構築するのがペーシング。
これ勘違いしてる人多い。ペースをこちらで握りコントロールする事じゃない。
受け止めるスキル
ありのままを受け止める
否定せず、意見せず、同意もしない。
相手に対して自分の主観に基づいた評価や判断を一切せず、すべてを受け止める。
質問を作り出すスキル
相手が自発的に行動を引き起こす、深い気付きを得る様な質問を作り出す力の事。
未来質問と過去質問
未来に焦点を当てる事で可能性に気付き、その人の成長や自己実現に向けた行動につなげる。
コーチングでは、未来質問が多く使われる。
・次に何をしてみたいですか?
・達成した時、どんな気持ちになると思う?
肯定質問と否定質問
肯定質問とは、~しない、~ない、という事がを入れない質問。
否定質問は、自然と考えや意識が否定に向いてしまう為、コーチングでは肯定質問が多く使われる。
・なぜ、目標が達成できなかったのですか?(否定質問)
→どうすれば、目標が達成できたと思いますか?(肯定質問)
・どうして対策をしなかったのですか?(否定質問)
→この結果になった原因は何にあると思いますか?(肯定質問)
仮定質問
もし~だったら、と言う質問の事。
この質問は、相手に「いままで考えた事もなかったような視点」を生み出す事が出来る。理想的な状態から現状を見る、未来から今を見る、立場を変えて自身を見る、等が可能になる。
新たな可能性に繋がる質問だと言える。
・もしあなたが上司だったら、どんな行動をとりますか?
・もし1年後の自分が今の自分を観たら、今何をすべきだとアドバイスすると思いますか?
伝えるスキル
フィードバックスキル
フィードバックとはそもそも電子工学の用語で、情報を元に戻すという意味がある。
つまり、フィードバックするスキルとは「見たまま、感じたままの客観的事実を伝える力」という事。
・可能な限り、相手の了解を得てから話す
・率直に伝える
リクエストするスキル
リクエストするスキルには2つの力がある。
・相手に「~してほしい」と率直に伝える力
・「相手の言葉にできない欲求」を聞き出す力ポイント
無理に自分の意見を押し付けたり、とらわれすぎない事
提案するスキル
相手に新しい視点や可能性を提供し、相手の自発的な行動を促す力
「こういうやり方もあるよ」
「こういう方法はどう?」
・提案を取り入れるかどうかは、相手に選択権をゆだねる
・提案を取り入れない場合も、相手の判断を尊重する
・新たな視点を与える事が重要であり、無理に自分の意見を押し付けたり、とらわれすぎない様に客観的な視点で提案する。
承認するスキル
単純に褒めるという事ではない
褒める事も含まれるが 「相手に現れている変化や成長・成果を認め、明確に伝える力」の事
・特に何も感じない、変化がないなら無理に承認する必要はない
コミュニケーションの準備
心と体と頭の状態をチェック
コーチが乱れていては、良いコーチングはできない。
しかしコーチも人間である事も事実。出来る限り、ニュートラルな状態を作ったうえで100%コーチングに集中できる状態を作る。
自分の表情をチェック
ニュートラルフェイスではなく、オープンフェイスで。
ちょっとだけ笑顔、みたいなイメージ。
座る場所と距離
心理学者のホール曰く、120センチ以内が親密なコミュニケーションを図る事が出来るらしい。
が、初回からそんなに近いのもパーソナルスペースの意識が高い人にとっては苦痛でしかない。
両者にとって心地よい距離を確認しあえばよい。
座る場所は、90度がベスト。
対面は交渉の場、対面やや斜めズレは不自然、横に並ぶのはカップル座り。
コーチングの仕組みを理解する
1.コーチングの基本的な時間的構造
一般的なコーチングは
7日から10日に1回
1回あたり30分から45分
この1回ごとのコミュニケーションを「コーチングセッション」と呼ぶ
今回のルーキー育成では、初期は極端に短く3日ごとにセッションを持つように設定
毎回の時間を短縮し20分に設定
2.コーチングセッションの基本的な進め方
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3.コーチング的アプローチの基本的な考え方
これらをコーチングセッションの中で明確にしながら、相手の行動を支援する事が、コーチング的アプローチの基本的な考え方、となります。
成果を作り出すためのコーチの焦点
1.価値ある目標をつくる
コーチングを実践する上で、話し合われる目標は価値ある目標でなくてはならない。
社員一人一人が、会社の目標は自分自身の目標という意識を持てる目標を作る事。
・当事者意識を持たせる
・期待や成果を明確に示す
・相手にしっかりと考えさせる
・納得するまで話し合い、意味づけを行う
2.学びと成長を促す
コーチとメンバー、共に学ぼうという姿勢を持つ。
行動を妨げるものに気付き、成長課題を明確にする。
3.自己信頼をはぐくむ
①相手の意図を明確にする
②自ら考え、自ら選択する
③責任感を引き出す
④自発的な行動が生まれる
⑤結果や成果を得る
⑥結果や成果、行動を振り返る
⑦承認する
⑧成功体験を積み重ねて、自己信頼につながる
まとめ
コーチングとは万能ではない。コーチングの出来る事、目指している事を理解する。
コーチングを実践する為のコーチの人間観、そして実践する手法を知る。
後は、実践あるのみ!
研修生と一緒に、コーチも常に成長していく。一緒に成長していく気持ちで!
がんばろ~♪
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